今度は、あらかじめ最大値・最小値が分かった状態から定数を求めることを考える。
例えば、関数\(y=x^2-2x+k+1\;\;\;(0≦x≦3)\)を考えてみる。
最終的に定数\(k\)の値を求めたい。
まずは平方式に平方完成する。
\(y=x^2-2x+k+1\)
\(\;\;\:=x^2-2x+1^2+k\)
\(\;\;\:=(x-1)^2+k\)
\(f(x)=x^2-2x+k+1\)とすると\(y=f(x)\)は、頂点\((1,k)\)、軸\(x=1\)、\(x^2\)の係数はプラスだから下に凸のグラフということが分かる。
グラフに表すと、 こんな感じになる。
頂点の\(y\)座標に\(k\)が含まれているので、グラフ全体が上下に動くという挙動を示す。
ここから定義域\(0≦x≦3\)をグラフで見ると こんな感じになる。
グラフが動くことによって、最大値と最小値も変化する。
ここから具体的な最大値、例えば最大値\(5\)ということがあらかじめ分かっていたとする。
すると、動いていたグラフが最大値が\(5\)となるような形に決定される。
同時に、最大値が\(5\)となるような定数\(k\)の値も決定される。
これが定数を求めるということ。
今の関数\(y=x^2-2x+k+1\;\;\;(0≦x≦3)\)で最大値\(5\)となるような定数\(k\)の値を考えていく。
とりあえず、区間の中央値を求める。
\[c=\frac{0+3}{2}=\frac{3}{2}\] 中央値\(c=\frac{3}{2}\)と軸\(x=1\)を見比べてみると、中央値の方が大きい。
つまり、軸が区間の中央より左にあるということが分かる。
2次関数の最大値と最小値より
このパターン。
区間の端のうち大きい方で最大値となっていることが分かる。
定義域は\(0≦x≦3\)なので、区間の端は\(0\)、\(3\)の2つ。
そのうち大きいのは\(3\)の方なので、\(x=3\)で最大値\(5\)をとる。
\(f(x)\)に\(x=3\)を代入すると
\(f(3)=3^2-2\)・\(3+k+1\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=9-6+k+1\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=k+4\)
最大値\(5\)ということが分かっているので
\(k+4=5\)
\(\;\;\;\;\;\;k=1\)
これが答え。
これが、最大値・最小値から定数を求めるということ。
ちなみに、そのときの最小値も求められることもあるので、最小値も求めてみる。
最小値は、2次関数の最大値と最小値より
頂点が最小値となっていることが分かる。
頂点は\((1,k)\)と分かっているので、\(x=1\)で最小値\(k\)をとる。
\(k\)は先程\(k=1\)と求めたので、
\(x=1\)で最小値\(1\)
これが答え。
グラフに表すと
こんな感じ。
例題を解きながら、最大値・最小値から定数を求めるやり方を確認する。
まずは、\(y=-x^2+2lx-l^2-4l\)を平方式に平方完成する。\(\begin{array}{l} y=-x^2+2lx-l^2-4l \\ \;\;\:=-(x^2-2lx)-l^2-4l \\ \;\;\:=-(x^2-2lx+l^2-l^2)-l^2-4l \\ \;\;\:=-\{(x-l)^2-l^2\}-l^2-4l \\ \;\;\:=-(x-l)^2+l^2-l^2-4l \\ \;\;\:=-(x-l)^2-4l \end{array}\)
\(f(x)=-x^2+2lx-l^2-4l\)とすると\(y=f(x)\)は、頂点\((l,-4l)\)、軸\(x=l\)、\(x^2\)の係数はマイナスだから上に凸のグラフということが分かった。
グラフの動きは、頂点に注目し、特に頂点の\(x\)座標である\(l\)の動きから把握する。
こんな感じ。
式に文字が含まれているので、グラフ全体が動くという挙動を示す。
2次関数の最大値と最小値より、上に凸のグラフの最大値は、
軸の位置が区間の中のときは、頂点が軸に一番近い、というか重なっているから問答無用で頂点で最大値をとる。
軸の位置が区間の外のときは、区間の端のうち軸に近い方で最大値をとる。
考えられるのは、軸が区間の
①左外
②中
③右外
この3パターン。
軸\(x=l\)の動きに注目しながら順番に見ていく。
①軸が区間の左外のとき
「軸が区間の左外のとき」というのは、「軸\(x=l\)が区間の左端\(-1\)よりも小さいとき」ということ。
つまり、
\(l\)<\(-1\)
という条件になる。
最大値は、2次関数の最大値と最小値より
このパターン。
区間の端のうち小さい方で最大値となっていることが分かる。
定義域は\(-1≦x≦0\)なので、区間の端は\(-1\)、\(0\)の2つ。
そのうち小さいのは\(-1\)の方なので、\(x=-1\)で最大値\(4\)をとる。
\(f(x)\)に\(x=-1\)を代入すると、
\(f(-1)=-(-1)^2+2l\)・\((-1)-l^2-4l\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;=-1-2l-l^2-4l\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;=-l^2-6l-1\)
最小値\(4\)ということが分かっているので
\(\;-l^2-6l-1=4\)
\(\;-l^2-6l-5=0\)
\(\;\;\;\;l^2+6l+5=0\)
\((l+1)(l+5)=0\)
よって\(l=-1,-5\)となる。
\(l\)<\(-1\)という条件を満たすのは\(l=-5\)
②軸が区間の中のとき
「軸が区間の中のとき」というのは、「軸\(x=l\)が\(-1\)以上かつ\(0\)以下」ということ。
つまり、
\(-1≦l≦0\)
という条件になる。
最大値は、2次関数の最大値と最小値より
このパターン。
頂点が最大値となっていることが分かる。
頂点は\((l,-4l)\)と分かっているので、\(x=l\)で最大値\(4\)をとる。
つまり、
\(-4l=4\)
\(\;\;-l=1\)
\(\;\;\;\;\;l=-1\)
\(l=-1\)は\(-1≦l≦0\)という条件を満たす。
③軸が区間の右外のとき
「軸が区間の右外のとき」というのは、「軸\(x=l\)が区間の右端\(0\)よりも大きいとき」ということ。
つまり、
\(l\)>\(0\)
という条件になる。
最大値は、2次関数の最大値と最小値より
このパターン。
区間の端のうち大きい方で最大値となっていることが分かる。
定義域は\(-1≦x≦0\)なので、区間の端は\(-1\)、\(0\)の2つ。
そのうち大きいのは\(0\)の方なので、\(x=0\)で最大値\(4\)をとる。
\(f(x)\)に\(x=0\)を代入すると、
\(f(0)=-0^2+2l\)・\(0-l^2-4l\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=-l^2-4l\)
最大値\(4\)ということが分かっているので
\(\;\;\;\;\;\;-l^2-4l=4\)
\(-l^2-4l-4=0\)
\(\;\;\:l^2+4l+4=0\)
\(\;\;\;\;\;\;\;(l+2)^2=0\)
よって\(l=-2\)となる。
\(l=-2\)は\(l\)>\(0\)という条件を満たさない。
①②③より、求める\(l\)の値は
\(l=-5,-1\)
これが答え。
ちなみに、\(l=-5,-1\)ということが分かったのでどんなグラフか確認してみる。
\(f(x)\)に\(l=-5\)を代入すると、
\(f(x)=-x^2+2\)・\((-5)\)・\(x-(-5)^2-4\)・\((-5)\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=-x^2-10x-25+20\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=-x^2-10x-5\)
となり、関数\(y=-x^2-10x-5\)となることが分かる。
\(x=-1\)で最大値\(4\)をとるので
また、\(f(x)\)に\(l=-1\)を代入すると、
\(f(x)=-x^2+2\)・\((-1)\)・\(x-(-1)^2-4\)・\((-1)\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=-x^2-2x-1+4\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\,=-x^2-2x+3\)
となり、関数\(y=-x^2-2x+3\)となることが分かる。
\(x=-1\)で最大値\(4\)をとるので
グラフに表すとこんな感じ。
変化しない決まった数値のこと。定まった数。 | |
どんな数にでもなり得る文字のこと。変化する数。 | |
2次の多項式を平方式や完全平方式に変形させること | |
関数\(y=f(x)\)における\(x\)の変域のこと | |
定義域に制限がある際の、\(x\)の値の範囲の実数\(x\)の集合のこと |
最大値・最小値から定数を求めるときは、どこに定数があるのかによって解き方が若干変わる。
\(x\)の係数であれば、\(x\)軸方向に移動することを考えなきゃいけないから場合分けする必要がある。
忘れずに場合分け出来るようになっておきたい。
難しいけど基本をしっかり身に着けておけば、グラフの動きもしっかり捉えることができる。
関数を可視化できるグラフはやっぱり超便利。
区間の端、区間の中央値、頂点、軸がそれぞれどうなるのかを意識しながら解いていきたい。