今度は、定義域によって式が異なる関数を考える。
定義域によって式が異なる関数の中に、ガウス記号っていうのがあるらしい。

とりあえずこれをガウス記号って呼ぶ。
例えば、\([a]\)って感じにガウス記号が使われていたら、実数\(a\)を超えない最大の整数を表すものとなる。
…ちょっと意味わからない。
まず実数とか整数ってなんだっけ。

実数とは、数直線上の点で表すことのできる数のこと。

少数のない数。

こんな感じ。
これが実数と整数。

「\([a]\)は、実数\(a\)を超えない最大の整数を表すもの」を
「実数\(a\)を超えない整数」と
「最大の整数」に分けて考える。
例えば、\([1.2]\)の場合、\(1.2\)を超えない最大の整数を表す。
まず\(1.2\)を超えない整数が、

その中で最大の整数は

なので、\([1.2]=\)\(\,1\)となる。
例えば、\([0]\)の場合、\(0\)を超えない最大の整数を表す。
まず\(0\)を超えない整数が、

その中で最大の整数は

なので、\([0]=\)\(\,0\)となる。
例えば、\([-2.3]\)の場合、\(-2.3\)を超えない最大の整数を表す。
まず\(-2.3\)を超えない整数が、

その中で最大の整数は

なので、\([-2.3]=\)\(\,-3\)となる。
\([1.2]=\)\(\,1\)\(,[0]=\)\(\,0\)\(,[-2.3]=\)\(\,-3\)
こんな感じ。
マイナスの数のときはちょっと気を付けなきゃいけない。
今のを踏まえて、
「\(n\)を整数とすると、\(n≦x\)<\(\,n+1\)ならば\([x]=n\)」ということができる。
これがガウス記号。
ざっくりいうと、\([x]\)は実数\(x\)の整数部分となる。
これは、ルートの整数部分と小数部分のお話に通ずるものがある。
整数部分なので、小数切り捨てということもできる。
でもやっぱりマイナスの数のときはちょっと気を付けなきゃいけない。
例えるなら年齢みたいなもの。
例えば15歳1ヶ月の場合、何歳かと言われれば15歳。
15歳11ヶ月の場合、何歳かと言われれば15歳。
明日誕生日が来て16歳になる時、今何歳かと言われれば15歳。
日付が変わった瞬間、何歳かと言われれば16歳。
そんな感じ。
ガウス記号は、もっと深堀することもできるらしい。
フロアー関数とか床関数って呼ばれて\(⌊x⌋\)とも表したりするとか、切り上げる場合は天井関数って呼ばれて\(⌈x⌉\)って表したりするとか、その性質がどうのこうのとか…。
いろいろ込み入ったお話があるみたいだけど、とりあえず今は気にしない。
ガウス記号の「ガウス」っていうのは人の名前。フルネームはヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス。長い。数字に対する造詣が深いドイツ人の数学者で、天文学者・物理学者でもあったらしい。まぁ、物凄いすんげぇ人って感じ。7歳の時、算数の授業で「1から100までの数字すべてを足せ」という問題を教師が出し、わずか数秒で「5050」という解答を導き出して教師を驚かせた、という有名なお話があるくらい物凄いすんげぇ人。他にも面白い生い立ちがたくさんある。そんな物凄いすんげぇ人だから「ガウス記号」みたいに、「ガウス平面」「ガウス整数」「ガウス分布」「ガウスの定理」「ガウス関数」…と自分の名前がいろんなところで登場しちゃう。「ガウス」っていう磁束密度の単位なんかにもなっちゃってる。単位になるのはヤバい。パスカルさんみたい。ガウス記号は「平方剰余の相互法則」を証明するときに披露されたらしい。


定義域\(-2≦x≦3\)の区間内を整数ごとに場合分けする。
「\(n\)を整数とすると、\(n≦x\)<\(\,n+1\)ならば\([x]=n\)」に倣うと、
①\(n=-2\)のとき、\(-2≦x\)<\(\,-1\)ならば\([x]=-2\)
ということができる。
つまり、\(y=-2\;\;\;(-2≦x\)<\(\,-1)\)という関数になる。
これをグラフに表すと、

こんな感じ。
同じように区間内すべての場合を考えると、
\(-1≦x\)<\(\;0\)ならば\([x]=-1\)

\(0≦x\)<\(\;1\)ならば\([x]=0\)

\(1≦x\)<\(\;2\)ならば\([x]=1\)

\(2≦x\)<\(\;3\)ならば\([x]=2\)

\(x=3\)なので\([x]=3\)

こんな感じになる。
①~⑥を順番に見てみると、

これをまとめると、\(y=[x]\;\;\;(-2≦x≦3)\)のグラフになる。

これが答え。

ちょっと情報が多いので、一つずつ確認する。
まずは(ア)から考える。
(ア)のグラフは、\(y=f(x)\;\;\;(0≦x≦4)\)となる。
定義より、
\(y=2x\;\;\;\;\;\;\;\;\;(0≦x\,\)<\(\,2\,)\) ・・・①
\(y=8-2x\;\;\;(2≦x≦4)\) ・・・②
と表すことができる。
ここまでくると、グラフに表せそうな気がしてくる。
まず①をグラフに表すと、

次に②は式を整理すると、\(y=-2x+8\)となり、傾き\(-2\)切片\(8\)のグラフになると分かる。
グラフに表すと、

こんな感じ。
①と②をまとめると、

こんな感じになる。
これが(ア)の答え。
今度は(イ)を考える。
(イ)のグラフは、\(y=f(f(x))\;\;\;(0≦x≦4)\)となる。
\(f(f(x))\)は\(f(x)\)の\(x\)が\(f(x)\)になってる感じ。
\(f(x)\)ばっかりで頭がバグりそう。

なので、定義 \( f(x)= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2x \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦x\,<\,2\,) \\ 8-2x \;\;\; (2≦x≦4) \end{array} \right. \) も同じように\(x\)を\(f(x)\)に置き換える。

定義① \( f(x)= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2x \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦x\,<\,2\,) \\ 8-2x \;\;\; (2≦x≦4) \end{array} \right. \)
定義② \( f(f(x))= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2f(x) \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦f(x)\,<\,2\,) \\ 8-2f(x) \;\;\; (2≦f(x)≦4) \end{array} \right. \)
この二つの定義を使ってグラフを考えていく。
まずは、(ア)より、\(y=f(x)\)のグラフは

\(y=f(x)\)なので、\(f(x)\)の範囲を\(y\)軸から読み取っていく。
ここから
①\(0≦x\,\)<\(\,1\)
②\(1≦x\,\)<\(\,2\)
③\(2≦x\,\)<\(\,3\)
④\(3≦x≦4\)
の4パターンで場合分けして考える。
定義① \( f(x)= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2x \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦x\,<\,2\,) \\ 8-2x \;\;\; (2≦x≦4) \end{array} \right. \) より、\(x\)の範囲は\(0≦x\,\)<\(\,2\,\)と\(2≦x≦4\)の2通り。
(ア)のグラフで見ると

定義② \( f(f(x))= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2f(x) \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦f(x)\,<\,2\,) \\ 8-2f(x) \;\;\; (2≦f(x)≦4) \end{array} \right. \) より、\(f(x)\)の範囲は\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)と\(2≦f(x)≦4\)の2通り。
(ア)のグラフは\(y=f(x)\)なので、\(0≦y\,\)<\(\,2\,\)と\(2≦y≦4\)で考えることができる。

こんな感じ。
定義①と定義②の組み合わせを考えると、

グラフの範囲を\(x\)軸で見ると、

②\(1≦x\,\)<\(\,2\)
③\(2≦x\,\)<\(\,3\)
④\(3≦x≦4\)
この4通りで考えれば、\(0≦x≦4\)の範囲を網羅できる。
\(0≦x\,\)<\(\,1\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲を見ると

\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)なので定義②より\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)のとき\(f(f(x))=2f(x)\)となる。


整理すると\(y=4x\;\;\;(0≦x\)<\(\,1\,)\)となる。

グラフに表すとこんな感じ。
②\(1≦x\)<\(\,2\)
\(1≦x\)<\(\,2\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲を見ると

\(2≦f(x)\)<\(\,4\,\)なので定義②より\(2≦f(x)≦4\)のとき\(f(f(x))=8-2f(x)\)となる。


整理すると\(y=-4x+8\;\;\;(1≦x\)<\(\,2\,)\)となる。

グラフに表すとこんな感じ。
③\(2≦x\)<\(\,3\,\)
\(2≦x\)<\(\,3\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲を見ると

\(2\,\)<\(\,f(x)≦4\)なので定義②より\(2≦f(x)≦4\)のとき\(f(f(x))=8-2f(x)\)となる。


整理すると\(y=4x-8\,\,\,(2≦x\)<\(\,3\,)\)となる。

グラフに表すとこんな感じ。
④\(3≦x≦4\)
\(3≦x≦4\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲を見ると

定義の範囲に合わせるため、\(x=3\)のとき\(f(x)=2\)となる場合は一旦置いておいて、まずは\(3\,\)<\(\,x≦4\)のとき\(0≦f(x)\)<\(\,2\,\)で考える。


さっき置いておいた\(x=3\)のとき\(f(x)=2\)となる場合を考える。
\(f(x)=2\)なので定義②より\(2≦f(x)≦4\)のとき\(f(f(x))=8-2f(x)\)となる。
\(x=3\)なので定義①より\(2≦x≦4\)のとき\(f(x)=8-2x\)となる。
つまり、
\(x=3\)を代入すると
整理すると\(y=-4x+16\;\;\;(3≦x≦4)\)となる。

グラフに表すとこんな感じ。
①②③④を順番に見てみると、

これをまとめると、\(y=f(f(x))\;\;\;(0≦x≦4)\)のグラフになる。

これで\(y=f(f(x))\;\;\;(0≦x≦4)\)のグラフがかけた。
これが(イ)の答え。
これが定義域によって式が異なる関数。
結構ややこしい。
-1024x197.png)
例題を解きながら、定義域によって式が異なる関数のグラフのかき方を確認する。


\(n\)を整数とすると、\(n≦x\)<\(\,n+1\,\)ならば\([x]=n\)ということができることに倣うと、
①\(n=-2\)のとき、\(-2≦x\)<\(\,-1\,\)ならば\([x]=-2\)
整理すると、
これをグラフに表すと、

こんな感じ。
同じように区間内すべての場合を考えると、




こんな感じになる。
①~⑤を順番に見てみると、

これをまとめると、\(y=x-2[x]\;\;\;(-2≦x≦2)\)のグラフになる。

これが答え。

(ア)のグラフは、\(y=f(x)\;\;\;(0≦x\)<\(\,4\,)\)となる。
定義より、
\(y=2x\;\;\;\;\;\;\;\;\;(0≦x\)<\(\,4\,)\) ・・・①
\(y=2x-4\;\;\;(2≦x\)<\(\,4\,)\) ・・・②
と表すことができる。
まず①をグラフに表すと、

こんな感じ。
次に②をグラフに表すと、

こんな感じ。
①と②をまとめると、

こんな感じになる。
これが(ア)の答え。
今度は(イ)を考える。
(イ)のグラフは、\(y=f(f(x))\;\;\;(0≦x≦1)\)となる。
\(f(f(x))\)は\(f(x)\)の\(x\)が\(f(x)\)に置き換わってる感じ。
なので、定義
\(
f(x)=
\left\{ \begin{array}{l}
\displaystyle 2x \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦x\,<\,2\,) \\
2x-4 \;\;\; (2≦x\,<\,4\,)
\end{array} \right.
\)
も同じように\(x\)を\(f(x)\)に置き換える。

定義① \( f(x)= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2x \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦x\,<\,2\,) \\ 2x-4 \;\;\; (2≦x\,<\,4\,) \end{array} \right. \)
定義② \( f(f(x))= \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle 2f(x) \;\;\;\;\;\;\;\;\; (0≦f(x)\,<\,2\,) \\ 2f(x)-4 \;\;\; (2≦f(x)\,<\,4\,) \end{array} \right. \)
この二つの定義を使ってグラフを考えていく。
まずは、(ア)より、\(y=f(x)\)のグラフは

こんな感じ。
\(y=f(x)\)なので、\(f(x)\)の範囲を\(y\)軸から読み取っていく。
ここから
①\(0≦x\,\)<\(\,1\,\)
②\(1≦x\,\)<\(\,2\,\)
③\(2≦x\,\)<\(\,3\,\)
④\(3≦x≦4\)
の4パターンで場合分けして考える。
①\(0≦x\,\)<\(\,1\,\)
\(0≦x\,\)<\(\,1\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲から

\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)なので定義②より\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)のとき\(f(f(x))= 2f(x)\)となる。



グラフに表すとこんな感じ。
②\(1≦x\,\)<\(\,2\)
\(1≦x\,\)<\(\,2\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲から

\(2≦f(x)\,\)<\(\,4\,\)なので定義②より\(2≦f(x)≦4\)のとき\(f(f(x))=2f(x)-4\)となる。



グラフに表すとこんな感じ。
③\(2≦x\,\)<\(\,3\,\)
\(2≦x\,\)<\(\,3\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲から

\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)なので定義②より\(0≦f(x)\,\)<\(\,2\,\)のとき\(f(f(x))= 2f(x)\)となる。



グラフに表すとこんな感じ。
④\(3≦x\,\)<\(\,4\,\)
\(3≦x\,\)<\(\,4\,\)のとき、(ア)のグラフより

\(y=f(x)\)なので、\(y\)の範囲から

\(2≦f(x)\,\)<\(\,4\,\)なので定義②より\(2≦f(x)\,\)<\(\,4\,\)のとき\(f(f(x))= 2f(x)-4\)となる。



グラフに表すとこんな感じ。
①②③④を順番に見てみると、

これをまとめると、\(y=f(f(x))\;\;\;(0≦x\,\)<\(\,4\,)\)のグラフになる。

これが(イ)の答え。
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実数

数直線上の点で表すことのできる数のこと。
整数

0と、0に次々1を足した数と、0から次々1を引いた数。
少数のない数。
\([\;\;\;]\)←このホッチキスの芯みたいな記号のこと | |
実数\(a\)を超えない最大の整数。少数切り捨て。整数部分。 マイナスの数のときはちょっと気を付けなきゃいけない。 \(n\)を整数とすると、\(n≦x\,\)<\(\,n+1\,\)ならば\([x]=n\) |
|
どんな数にでもなり得る文字のこと。変化する数。 | |
変数のとりうる値の範囲のこと | |
関数\(y=f(x)\)における\(x\)の変域のこと | |
定義域に制限がある際の、\(x\)の値の範囲の実数\(x\)の集合のこと |
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問題を解くときはしっかりと定義から考えていけばマイナスの数でミスるみたいなことが減る。
\(n\)を整数とすると、\(n≦x\,\)<\(\,n+1\,\)ならば\([x]=n\)となる。
これ。
ガウス記号も含め、定義域によって式が異なる関数はグラフの形がちょっと特殊な形になる。
ちょっと難しいけど基本をしっかり身に着けてパターンを覚えておけば、グラフもしっかり捉えることができる。
関数を可視化できるグラフはやっぱり超便利。