2次関数のグラフのかき方が分かった。
今度はグラフを移動させてみる。
グラフの移動には「平行移動」とか「対称移動」とか「回転移動」がある。
そのうちの平行移動を考えてみる。

点\((a,b)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ移動した点の座標は\((a+p,b+q)\)になる。

線は点の集まりだからこの点の移動が基本となる。
例えば、点\((1,1)\)を\(x\)軸方向に\(2\)、\(y\)軸方向に\(-3\)だけ移動した点の座標は\((1+2,1-3)\)で\((3,-2)\)になる。

こんな感じ。

分かりやすい曲線として放物線がある。
放物線になるのは2次関数のグラフ。
まずは2次関数のグラフの平行移動から見ていく。

分かりやすく、放物線\(F\)は\(y=ax^2 (a≠0)\)の形ってことにする。

線は点が集合したものと考えて、点の移動を放物線の移動に当てはめる。
放物線\(F\)上で適当な点\(P(X,Y)\)をとって、点\(P\)に対応する放物線\(G\)上の点を\(Q(x,y)\)とする。


さらに、\(Y=aX^2\)に\(X=x-p,Y=y-q\)を代入すると、
こんな感じに、放物線\(F\)の方程式の\(x\)を\(x-p\)、\(y\)を\(y-q\)に置き換えると、平行移動後の放物線\(G\)の方程式になる。
つまり、「放物線の平行移動」という曲線の移動を、「頂点の移動」という点の移動と捉えることで、平方式から平行移動後の方程式を求めることができる。
\(y=ax^2\)の頂点\((0,0)\)を、\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ移動した点の座標は\((p,q)\)となる。
この点\((p,q)\)を頂点とする放物線の方程式は\(y=a(x-p)^2+q\)になる。

こんな感じ。

次に、直線とか放物線を含む曲線全般のグラフの平行移動を考える。
例えば、3次関数のグラフの平行移動は、

さっきと同じように平行移動する前の曲線を\(F\)、平行移動した後の放物線を\(G\)と置いて考える。
いろんな関数で考えられるように、\(F\)の式を\(y=f(x)\)と置く。

線は点が集合したものと考えて、点の移動を曲線の移動に当てはめる。
曲線\(F\)上で適当な点\(P(X,Y)\)をとって、点\(P\)に対応する放物線\(G\)上の点を\(Q(x,y)\)とする。


さらに、\(Y=f(X)\)に\(X=x-p,Y=y-q\)を代入すると、
こんな感じに、曲線\(F\)の方程式の\(x\)を\(x-p\)、\(y\)を\(y-q\)に置き換えると、平行移動後の曲線\(G\)の方程式になる。
放物線と同様に、符号に注意する必要がある。
数学において、直線は曲線に含まれている。なので、直線である1次関数のグラフも曲線に含まれる。曲線に含まれるので、1次関数のグラフも曲線の移動のとおりにグラフの平行移動をすることができる。曲線をメチャクチャ近くで見ると直線になっている。だからまぁ直線は曲線に含まれているって言えるなって感じ。曲線をメチャクチャ近くで見るのは微分の単元でやる。
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例題を解きながら2次関数のグラフの平行移動のやり方を確認する。
「置き換え」と「頂点の移動」の2パターン解き方があるから同じ例題で解いてみる。

放物線の方程式の\(x\)を\(x-p\)、\(y\)を\(y-q\)に置き換えると、平行移動後の放物線方程式になる。
\(x\)軸方向に\(4\)、\(y\)軸方向に\(3\)だけ平行移動したとき、
放物線の方程式の\(x\)を\(x-4\)、\(y\)を\(y-3\)に置き換えると、平行移動後の放物線方程式になる。
\(y=-2x^2-4x-4\)の\(x\)を\(x-4\)、\(y\)を\(y-3\)に置き換えて計算すると、

\(y=-2x^2+12x-17\)が答え。

同じ例題で、今度は頂点を移動させる解き方で解いてみる。
①頂点を求めるまず、頂点を求めるために\(y=-2x^2-4x-4\)を平方式に式変形する。

\(y=a(x-p)^2+q\)でいうと「点\((p,q)\)」が頂点になるから、
\(y=-2(x+1)^2-2\)の頂点は「点\((-1,-2)\)」ということが分かる。
②頂点の移動
次に、頂点\((-1,-2)\)、\(x\)軸方向に\(4\)、\(y\)軸方向に\(3\)だけ移動させる。
点\((a,b)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ移動した点の座標は\((a+p,b+q)\)になるから、
頂点\((-1,-2)\)を\(x\)軸方向に\(4\)、\(y\)軸方向に\(3\)だけ移動した点の座標は\((-1+4,-2+3)\)で\((3,1)\)になる。

グラフに表すとこんな感じ。
③頂点の移動後の方程式この点\((3,1)\)を頂点とする放物線の方程式を考える。
頂点\((p,q)\)の方程式は\(y=a(x-p)^2+q\)なので、
頂点\((3,1)\)の方程式は\(y=-2(x-3)^2+1\)ということが分かる。

\(y=-2x^2+12x-17\)が答え。
置き換えの解き方と同じ答えになった。
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点\((a,b)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ移動した点の座標は\((a+p,b+q)\) | |
\(y=ax^2\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動した方程式は\(y=a(x-p)^2+q\) | |
\(y=f(x)\)を\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動した方程式は\(y=f(x-p)+q\) |
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平行移動させるときの解き方は、「置き換え」と「頂点の移動」の2パターンある。
置き換えて解く解き方はプラスとマイナスが逆になるから少しややこしいけど速く解ける。
頂点を移動させる解き方は、点の移動だから符号はそのままで分かりやすいけどちょっと時間がかかる。
どっちかというと、ミスをなくすためにも頂点を移動させる解き方の方がオススメ。
ただ置き換えて解けるとマジで速い。