集合の関係の中で、「ド・モルガンの法則」という法則がある。
これは、補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わるというもの。
記号がややこしいように見えて、法則自体は意外とシンプル。

\(A∩B\)と書いて、「\(A\)かつ\(B\)」と読む。

\(A∪B\)と書いて、「\(A\)または\(B\)」と読む。

\(\overline{A}\)と表し、一般化すると \[\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\] こんな感じになる。

何故これが成り立つのか、ベン図と式でそれぞれ考えてみる。

\((a)\overline{A∪B}\)について
\(A∪B\)をベン図で表すと

\(A∪B\)の補集合\(\overline{A∪B}\)をベン図で表すと

\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)をベン図で表すと

\(\overline{A}\)かつ\(\overline{B}\)である\(\overline{A}∩\overline{B}\)をベン図で表すと

\((a)\overline{A∪B}\)と\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)のベン図は同じになるため

(2)\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)
\((a)\overline{A∩B}\)について
\(A∩B\)をベン図で表すと

\(A∩B\)の補集合\(\overline{A∩B}\)をベン図で表すと

\((b)\overline{A}∪\overline{B}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)をベン図で表すと

\(\overline{A}\)または\(\overline{B}\)である\(\overline{A}∪\overline{B}\)をベン図で表すと

\((a)\overline{A∩B}\)と\((b)\overline{A}∪\overline{B}\)のベン図は同じになるため


\((a)\overline{A∪B}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\)より\(\overline{A∪B}=\{x|x∈Uかつx∉A∪B\}\)となる。
\(x∉A∪B\)は、\(x\)は「\(A\)または\(B\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(x\)は\(A\)にも属していないし、\(B\)にも属していないということ。
なので、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)」ということができる。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)は「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∩\overline{B}\)」となる。
「\(\overline{A∪B}\)ならば\(\overline{A}∩\overline{B}\)」なので、 \[\overline{A∪B}⊂\overline{A}∩\overline{B}\]
\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)について
\(\overline{A}∩\overline{B}=\{x|x∈Uかつx∉Aかつx∉B\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)」が成り立つ。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)より、\(x\)は\(A\)にも属していないし、\(B\)にも属していない。
これは「\(A\)または\(B\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∪B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∪B}\)」となる。
「\(\overline{A}∩\overline{B}\)ならば\(\overline{A∪B}\)」なので、 \[\overline{A}∩\overline{B}⊂\overline{A∪B}\] \((a)\overline{A∪B}⊂\overline{A}∩\overline{B}\)と\((b)\overline{A}∩\overline{B}⊂\overline{A∪B}\)が同時に成り立つので \[\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\] が成り立つ。
(2)\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)
\((a)\overline{A∩B}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\)より\(\overline{A∩B}=\{x|x∈Uかつx∉A∩B\}\)となる。
\(x∉A∩B\)は、\(x\)は「\(A\)かつ\(B\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(A\)に属していないか、\(B\)に属していないということ。
なので、「\(x∉A\)または\(x∉B\)」ということができる。
\(x∉A\)または\(x∉B\)は「\(x∈\overline{A}\)または\(x∈\overline{B}\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∪\overline{B}\)」となる。
「\(\overline{A∩B}\)ならば\(\overline{A}∪\overline{B}\)」なので、 \[\overline{A∩B}⊂\overline{A}∪\overline{B}\] \((b)\overline{A}∪\overline{B}\)について
\(\overline{A}∪\overline{B}=\{x|x∈Uかつx∉Aまたはx∉B\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)または\(x∉B\)」が成り立つ。
\(x∉A\)または\(x∉B\)より、\(x\)は\(A\)に属していないか、\(B\)に属していない。
これは「\(A\)かつ\(B\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∩B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∩B}\)」となる。
「\(\overline{A}∪\overline{B}\)ならば\(\overline{A∩B}\)」なので、 \[\overline{A}∪\overline{B}⊂\overline{A∩B}\] \((a)\overline{A∩B}⊂\overline{A}∪\overline{B}\)と\((b)\overline{A}∪\overline{B}⊂\overline{A∩B}\)が同時に成り立つので \[\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\] が成り立つ。
☆オーガスタス・ド・モルガンさん
ド・モルガンの法則の名称は、インド生まれのイギリスの数学者オーガスタス・ド・モルガンさんにより考案されたことが由来となっている。数学的帰納法の定式化を行ったりもしている人だったらしい。

ド・モルガンの法則は、補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わるという法則。
式で見ると
式にすると2つ成り立つということになるけど、補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わる
ということだけ覚えておけば良き。
式で見ると
- \(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)(和集合の補集合は共通部分になる)
- \(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)(共通部分の補集合は和集合になる)
式にすると2つ成り立つということになるけど、
-1024x218.png)
| 集合と集合の関係を図で表したもの | |
| 範囲がはっきりしているものの集まり | |
\(a∈A\) |
\(a\)は\(A\)に属する \(a\)は\(A\)の要素 |
\(U\) |
すべての要素をまとめた集合 |
\(A⊂B\) |
\(A\)は\(B\)に含まれる \(B\)は\(A\)を含む |
\(A∩B\) |
\(A\)かつ\(B\) |
\(A∪B\) |
\(A\)または\(B\) |
\(\overline{A}\) |
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合 |
-1024x691.png)
補集合を取ると「共通部分(\(∩\))」と「和集合(\(∪\))」の関係が入れ替わる。
ベン図で見ると直感的に理解できる。
集合論・論理・データ処理など多くの分野で登場し、関係の反転を扱うときの基礎になる。
できれば証明のやり方も覚えておきたい。
すうがくのいえ 
