ものごとを整理して考えるとき、どこまで対象にするかをはっきりさせたい。
森羅万象すべてを対象としてしまうと収拾がつかなくなる。
数学では、この対象の範囲を全体集合で表す。

要素を考えるとき、全体集合の要素だけを考える。
集合を考えるとき、全体集合の部分集合だけを考える。
部分集合との区別のため、全体集合を\(U\)(Universal setの頭文字)と表し、ベン図では四角形で表す。
たとえば、「\(10\)未満の自然数」を考えるとき、全体集合は \[U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9\}\] となる。
その中で、「偶数」を集合\(A\)とすると、 \[A=\{2,4,6,8\}\] となり

こんな感じになる。
全体集合が決まると、その中で「含まれるか」「含まれないか」という関係を整理しやすくなる。

何も入っていない「空っぽ」の集合という感じ。
たとえば、「\(10\)未満の自然数」を全体集合\(U\)、「二桁の自然数」を集合\(B\)で考えると、\(B\)は\(U\)に要素を一つも持たないので、\(B\)は空集合となる。
空集合は\(\varnothing\)とか\(\{\:\:\:\}\)で \[B=\varnothing\] \[B=\{\:\:\:\}\] こんな感じに表す。
この集合\(B\)は、要素を1つも持たない集合として全体集合\(U\)の部分集合となる。
空集合はすべての集合の部分集合となる。
空集合として表すことで、要素を1つも持たないことが示せるため、集合の操作や論理を整理する上で役に立つ。
☆空集合の記号
「\(\varnothing\)」は、アルファベットの「\(\rm{O}\)」にストローク符号「\(/\)」が付されたラテン文字が由来。数学者集団ニコラ・ブルバキによる数学原論で初めて使用されたらしい。今は空集合としての記号とラテン文字としてのスラッシュオーとは区別される。ギリシャ文字のファイ(\(φ\),\(ϕ\))とか斜線付きゼロとかとも区別される。

集合は、「全体集合」とその中の「部分集合」という関係で整理することができる。
全体集合から特定の部分集合を取り除くと、残りの要素によって全体集合を補うことができる。
この「全体を補う」という考え方から、「補集合(complement set)」という名称が生まれた。
英語のcomplement(補完する・完全にする)は、「欠けている部分を補って完全にする」という意味をもっている。
たとえば、「\(10\)未満の自然数」を全体集合\(U\)、「偶数」を集合\(A\)とすると、\(A\)に属さない\(U\)の要素全体の集合が、\(U\)に関する\(A\)の補集合となる。
補集合は記号で\(\overline{A}\)とか\(A^c\)で \[\overline{A}=\{1,3,5,7,9\}\] \[A^c=\{1,3,5,7,9\}\] と表し

高校数学までは大体\(\overline{A}\)で表していた記憶。
\(U-A=\overline{A}\)で、集合の頭にマイナスが付いてるイメージで覚えれそう。
これを一般化すると \[\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\] こんな感じになる。






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| 範囲がはっきりしているものの集まり | |
\(a∈A\) |
\(a\)は\(A\)に属する \(a\)は\(A\)の要素 |
\(A⊂B\) |
\(A\)は\(B\)に含まれる \(B\)は\(A\)を含む |
\(A∩B\) |
\(A\)かつ\(B\) |
\(A∪B\) |
\(A\)または\(B\) |
\(U\) |
すべての要素をまとめた集合 |
\(\varnothing\) |
要素を1つも持たない集合 |
\(\overline{A}\) |
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合 |
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全体集合は、これから考えるすべての要素の集合。
空集合は、要素がひとつも入っていない集合。
補集合は、全体集合の中で、ある集合に含まれない要素全体の集合。
これらを理解すると、集合の操作全体を整理して考えやすくなる。
集合を考えるとき、「含まれる」か「含まれない」という関係をはっきりさせることが大事。
すうがくのいえ 