集合の統合法則と分配法則ってなに?集合を整理する法則

多項式同士の足し算や掛け算には
交換法則
・\(A+B=B+A\)
・\(AB=BA\)
統合法則
・\((A+B)+C=A+(B+C)\)
・\((AB)C=A(BC)\)
分配法則
・\(A(B+C)=AB+AC\)
・\((A+B)C=AC+BC\)
という3つの基本法則がある。
こんな感じの法則は集合においてもあるみたい。

合わせて読みたい

分配法則とは?

集合の基本的な法則

とりあえず覚えておきたい基本的な法則は
  • 交換法則
  • 統合法則
  • 分配法則
の3つ。
交換法則、統合法則、分配法則はそれぞれ交換律、統合律、分配律と呼んだりもする。
法則を暗記するというよりは、法則の意味を理解する方針で接していきたい。

交換法則

交換法則は、順番を入れ替えても変わらないという法則のこと。
  • 共通部分\[A∩B=B∩A\]
    (「\(A\)かつ\(B\)」と「\(B\)かつ\(A\)」は同じ)
  • 和集合\[A∪B=B∪A\]
    (「\(A\)または\(B\)」と「\(B\)または\(A\)」は同じ)
ここでは共通部分の交換法則を詳しく見ていく。
任意の要素\(x\)について、左辺(\(A∩B\))より
\(A∩B=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B\}\)
このとき、「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)」は「\(x∈B\)かつ\(x∈A\)」ともいえるので、
\(B∩A=\{x|x∈B\)かつ\(x∈A\}\)
となり
\(A∩B⊂B∩A\)・・・①
が成り立つ。
右辺(\(B∩A\))より
\(B∩A=\{x|x∈B\)かつ\(x∈A\}\)
このとき、「\(x∈B\)かつ\(x∈A\)」は「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)」ともいえるので、
\(A∩B=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B\}\)
となり
\(B∩A⊂A∩B\)・・・②
が成り立つ。
①と②が同時に成り立つので \[A∩B=B∩A\] が成り立つ。
和集合の交換法則も同様の考え方で示せる。
よって \[A∩B=B∩A\] \[A∪B=B∪A\] が成り立つ。

統合法則

統合法則は、どこから先にまとめても良い法則のこと。
  • 共通部分\[(A∩B)∩C=A∩(B∩C)\]
    (「[\(A\)かつ\(B\)]かつ\(C\)」と「\(A\)かつ[\(B\)かつ\(C\)]」は同じ)
  • 和集合\[(A∪B)∪C=A∪(B∪C)\]
    (「[\(A\)または\(B\)]または\(C\)」と「\(A\)または[\(B\)または\(C\)]」は同じ)
ここでは共通部分の統合法則を詳しく見ていく。
任意の要素\(x\)について、左辺(\((A∩B)∩C\))より
\((A∩B)∩C=\{x|x∈A∩B\)かつ\(x∈C\}\)
\(A∩B=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B\}\)より
\((A∩B)∩C=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B\)かつ\(x∈C\}\)
このとき、「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)かつ\(x∈C\)」は「\(x∈A\)かつ(\(x∈B\)かつ\(x∈C\))」ともいえるので、
\(A∩(B∩C)=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B∩C\}\)
となり
\((A∩B)∩C⊂A∩(B∩C)\)・・・①
が成り立つ。
右辺(\(A∩(B∩C)\))より
\(A∩(B∩C)=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B∩C\}\)
\(B∩C=\{x|x∈B\)かつ\(x∈C\}\)より
\(A∩(B∩C)=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B\)かつ\(x∈C\}\)
このとき、「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)かつ\(x∈C\)」は「(\(x∈A\)かつ\(x∈B\))かつ\(x∈C\)」ともいえるので、
\((A∩B)∩C=\{x|x∈A∩B\)かつ\(x∈C\}\)
となり
\(A∩(B∩C)⊂(A∩B)∩C\)・・・② が成り立つ。
①と②が同時に成り立つので
\[(A∩B)∩C=A∩(B∩C)\]
が成り立つ。
和集合の統合法則も同様の考え方で示せる。
よって \[(A∩B)∩C=A∩(B∩C)\] \[(A∪B)∪C=A∪(B∪C)\] が成り立つ。

分配法則

分配法則は、ひとつの条件をそれぞれに配っても意味が変わらない法則のこと。
配る前にまとめても、まとめてから配っても、同じ結果になる。
  • 共通部分\[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\]
    (「\(A\)かつ[\(B\)または\(C\)]」と「[\(A\)かつ\(B\)]または[\(A\)かつ\(C\)]」は同じ)
  • 和集合\[A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)\]
    (「\(A\)または[\(B\)かつ\(C\)]」と「[\(A\)または\(B\)]かつ[\(A\)または\(C\)]」は同じ)
ここでは共通部分の分配法則を詳しく見ていく。
任意の要素\(x\)について、左辺(\(A∩(B∪C)\))より
\(A∩(B∪C)=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B∪C\}\)
「\(x∈A\)かつ\(x∈B∪C\)」というのは「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)」または「\(x∈A\)かつ\(x∈C\)」ということなので
\((A∩B)∪(A∩C)=\{x|x∈A∩B\)または\(x∈A∩C\}\)
となり
\(A∩(B∪C)⊂(A∩B)∪(A∩C)\)・・・①
が成り立つ。
右辺((A∩B)∪(A∩C))より
\((A∩B)∪(A∩C)=\{x|x∈A∩B\)または\(x∈A∩C\}\)
「\(x∈A∩B\)または\(x∈A∩C\)」というのは「\(x∈A\)」かつ「\(x∈B\)または\(x∈C\)」ということなので
\(A∩(B∪C)=\{x|x∈A\)かつ\(x∈B∪C\}\)
となり
\((A∩B)∪(A∩C)⊂A∩(B∪C)\)・・・②
が成り立つ。
①と②が同時に成り立つので \[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\] が成り立つ。
和集合の分配法則も同様の考え方で示せる。
よって \[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\] \[A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)\] が成り立つ。
☆多項式と集合
集合の分配法則は少しややこしく見えるけど、多項式の分配法則の形と比較してみると、やっていることは同じだということが分かる。共通部分の分配法則における\(∩\)を\(×\)、\(∪\)を\(+\)に置き換えてみると \[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\] \[A×(B+C)=(A×B)+(A×C)\] となり、多項式の分配法則 \[A(B+C)=AB+AC\] と同じ形になる。また、和集合の分配法則においては\(∪\)を\(×\)、\(∩\)を\(+\)に置き換えてみると \[A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)\] \[A×(B+C)=(A×B)+(A×C)\] となり、同様に多項式の分配法則 \[A(B+C)=AB+AC\] と同じ形になる。あくまで「分配の形が似ている」という点に注目しているため、\(∩\)が必ず\(×\)、\(∪\)が必ず\(+\)に対応するというわけではない。

例題

例題を解きながら、集合の法則がどのように問題として出てくるのかを確認していく。

無くても解けるけど、分かりやすくするためにベン図も描いておく。
とりあえず、\(ABC\)が重なるように丸を3つ描く。

問題文から

\(U=\{30\)以下の自然数\(\}\)
\(A=\{\)偶数\(\}\)
\(B=\{\)3の倍数\(\}\)
\(C=\{\)5の倍数\(\}\)
それぞれの集合はこんな感じ。
全ての集合の要素となるのは、\(30\)以下の\(3\)と\(5\)の公倍数のうち偶数である\(30\)のみなので、真ん中に\(30\)を書く。
共通部分を求めて、\(30\)以外の数を書く。
\(A∩B=\{\)\(6,12,18,24\)\(,30\}\)
\(B∩C=\{\)\(15\)\(,30\}\)
\(C∩A=\{\)\(10,20\)\(,30\}\)

それぞれの集合で、共通部分に出てこなかった数を書く。

外枠を描いて、\(30\)以下の自然数で出てこなかった数を書く。

これでベン図が描けた。

(1)

「\(A\)かつ\(B\)かつ\(C\)」なので、\(30\)以下の自然数のうち「偶数かつ\(3\)の倍数かつ\(5\)の倍数」となり \[A∩B∩C=\{30\}\] これが答え。
ベン図で見ると

こんな感じ。

(2)

「\(A\)かつ[\(B\)または\(C\)]」なので、\(30\)以下の自然数のうち「偶数かつ[\(3\)の倍数または\(5\)の倍数]」となる。 [\(3\)の倍数または\(5\)の倍数]の中で偶数を探せばいいので
\(B∪C=\{3,5,\)\(6\)\(,9,\)\(10\)\(,\)\(12\)\(,15,\)\(18\)\(,\)\(20\)\(,21,\)\(24\)\(,25,27,\)\(30\)\(\}\)
より \[A∩(B∪C)=\{6,10,12,18,20,24,30\}\] これが答え。
ベン図で見ると
こんな感じ。
また、分配法則より \[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\] と考えてもよき。
この場合、\(30\)以下の自然数のうち「[偶数かつ\(3\)の倍数]または[偶数かつ\(5\)の倍数]」となるので
[偶数かつ\(3\)の倍数] \[A∩B=\{6,12,18,24,30\}\] [偶数かつ\(5\)の倍数] \[A∩C=\{10,20,30\}\] [偶数かつ\(3\)の倍数]または[偶数かつ\(5\)の倍数] \[(A∩B)∪(A∩C)=\{6,10,12,18,20,24,30\}\] こんな感じになって答えが同じになることが分かる。
こっちの方がなんとなく分かりやすい。

(3)

「[\(\overline{A}\)または\(\overline{B}\)]かつ\(C\)」なので、\(30\)以下の自然数のうち「[偶数でないまたは\(3\)の倍数でない]かつ\(5\)の倍数」となる。
ちょっと分かりにくいので、ド・モルガンの法則\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)より \[(\overline{A∩B})∩C\] となり、「[偶数かつ\(3\)の倍数]でないかつ\(5\)の倍数」となる。
[偶数かつ\(3\)の倍数] \[A∩B=\{6,12,18,24,30\}\] [偶数かつ3の倍数]でないかつ5の倍数 \[(\overline{A∩B})∩C=\{5,10,15,20,25\}\] 求めるべきは\((\overline{A}∪\overline{B})∩C\)なので \[(\overline{A}∪\overline{B})∩C=\{5,10,15,20,25\}\] これが答え。
ベン図で見ると

こんな感じ。

定義を知る

ベン図
集合と集合の関係を図で表したもの
集合
範囲がはっきりしているものの集まり
要素(元)
\(a∈A\)
\(a\)は\(A\)に属する
\(a\)は\(A\)の要素
全体集合
\(U\)
すべての要素をまとめた集合
共通部分
\(A∩B\)
\(A\)かつ\(B\)
和集合
\(A∪B\)
\(A\)または\(B\)
補集合
\(\overline{A}\)
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合
交換法則
\[A∩B=B∩A\]\[A∪B=B∪A\]
統合法則
\[(A∩B)∩C=A∩(B∩C)\]\[(A∪B)∪C=A∪(B∪C)\]
分配法則
\[A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)\]\[A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)\]

まとめ

集合における基本的な法則は
  • 交換法則
  • 統合法則
  • 分配法則
の3つ。
単に式を暗記するよりも、それぞれの法則が表している意味を理解して、集合の条件を整理する考え方として使っていきたい。
特に分配法則は、「\(A\)かつ[\(B\)または\(C\)]」「[\(A\)かつ\(B\)]または[\(A\)かつ\(C\)]」のように、条件の見方を切り替えるための道具として有効で、実際の問題でも集合を整理するのが楽になる。
集合の問題は
  • 言葉に直す
  • ベン図で整理する
  • 法則を使って形を変える

ことで、落ち着いて処理できるようになる。
ド・モルガンの法則も合わせて使うことで、より複雑な集合の問題も整理しやすくなる。

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