【2次不等式】絶対不等式とは?常に成り立つ条件

絶対値を含む不等式と混同されやすいものとして、「絶対不等式」というのがある。
絶対不等式の問題は「どんな実数𝑥でも常に不等式が成り立つような条件」を考える。

絶対不等式とは?

絶対不等式とは、解がすべての実数になる不等式のこと。
解がすべての実数になる不等式は、「すべての実数\(x\)に対して不等式が成り立つ」「任意の実数\(x\)に対して不等式が成り立つ」のように表現されたりする。
つまり、どんな実数\(x\)を代入しても成り立つ不等式が絶対不等式ということ。
たとえば、どんな実数\(x\)を代入しても2次不等式\(ax^2+bx+c\)>\(0\)が成り立つということを考えてみる。
左辺を\(y\)と置いて、2次関数\(y=ax^2+bx+c\)のグラフを考えると、\(y\)>\(0\)はグラフ全体が常に\(x\)軸よりも上にあることになる。
こんな感じ。
どんな実数\(x\)を代入しても\(y\)>\(0\)となるので、どんな実数\(x\)を代入しても2次不等式\(ax^2+bx+c\)>\(0\)が成り立つ。
このグラフから、\(x\)軸との共有点がないことが分かるので、
\(a\)>\(0\)(下に凸)かつ\(D\)<\(0\)(\(D=b^2-4ac\)は負)
となる。

合わせて読みたい

2次関数におけるx軸との共有点の求め方 2次不等式は
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)
の4パターンある。
それぞれがすべての実数\(x\)について成り立つ場合、
\(ax^2+bx+c\)>\(0\) のとき \(a\)>\(0\) かつ \(D\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\) のとき \(a\)<\(0\) かつ \(D\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\) のとき \(a\)>\(0\) かつ \(D\)≦\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\) のとき \(a\)<\(0\) かつ \(D\)≦\(0\)
ということが分かる。
また、たとえば、不等式\(ax^2+bx+c\)>\(0\)で\(a=0\)の場合も含めて考えると、すべての実数\(x\)について\(ax^2+bx+c\)>\(0\)が成り立つとき、「\(a=b=0\)かつ\(c\)>\(0\)」または「\(a\)>\(0\)かつ\(D\)<\(0\)」となる。
それも踏まえると、
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)のとき「\(a=b=0\)かつ\(c\)>\(0\)」または「\(a\)>\(0\)かつ\(D\)<\(0\)」
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)のとき「\(a=b=0\)かつ\(c\)<\(0\)」または「\(a\)<\(0\)かつ\(D\)<\(0\)」
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)のとき「\(a=b=0\)かつ\(c\)≧\(0\)」または「\(a\)>\(0\)かつ\(D\)≦\(0\)」
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)のとき「\(a=b=0\)かつ\(c\)≦\(0\)」または「\(a\)<\(0\)かつ\(D\)≦\(0\)」
となる。
これが絶対不等式の特徴。
実際に問題を解くときは、問題文を注意深く読まなくてはならない。

2次不等式が常に成立する条件

すべての実数\(x\)について、2次不等式\(x^2+(k+3)x-k\)>\(0\)が成り立つので、
\(ax^2+bx+c\)>\(0\) のとき \(a\)>\(0\) かつ \(D\)<\(0\)
を使う。
\(a\)>\(0\)は既に満たしており、\(D\)<\(0\)となるような定数\(k\)の値の範囲を求めれば良き。
\(D\)<\(0\)より
\(-9\)<\(k\)<\(-1\)
定数\(k\)の値の範囲を求めることができたのでこれが答え。
\(-9\)<\(k\)<\(-1\)の範囲だと、下に凸のグラフが常に\(x\)軸よりも上側にあるので、\(y\)>\(0\)を満たすという感じ。
絶対不等式の特徴を覚えて解いていきたい。

例題

例題を解きながら、絶対不等式の特徴を確認していく。

(1)

とりあえず、「2次不等式」なので\(a≠0\)となる。
すべての実数\(x\)に対して、2次不等式\(ax^2-2\sqrt{3}x+a+2\)≦\(0\)が成り立つので、
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\) のとき \(a\)<\(0\) かつ \(D\)≦\(0\)
を使う。
\(D\)≦\(0\)となるような定数\(a\)の値の範囲は
\(a\)<\(0\)かつ\(a\)≦\(-3,1\)≦\(a\)なので
\(a\)≦\(-3\)
これが答え。

(2)

とりあえず、\(a(x^2+x-1)\)<\(x^2+x\)を整理する。
「不等式」なので\(a-1=0\)の場合も含めて考える。
任意の実数\(x\)に対して、不等式\((a-1)x^2+(a-1)x-a\)<\(0\)が成り立つので、
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)のとき
\([1]a=b=0\)かつ\(c\)<\(0\)
または
\([2]a\)<\(0\)かつ\(D\)<\(0\)
となるので、それぞれ場合分けをして考える。
\(a=1\)かつ\(a\)>\(0\)より
\(a=1\)
\(a\)<\(1\)かつ\(\frac{1}{5}\)<\(a\)<\(1\)より
\(\frac{1}{5}\)<\(a\)<\(1\)
\([1]a=1\)または\([2]\frac{1}{5}\)<\(a\)<\(1\)なので
\(\frac{1}{5}\)<\(a\)≦\(1\)
これが答え。

定義を知る

2次不等式
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)
(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\))
絶対不等式
解がすべての実数になる不等式

まとめ

絶対不等式の特徴は、何故そうなるのかを理解しておけばわざわざ式を覚える必要もない。
理解するためには、やっぱりグラフから視覚的に捉えることが大事。
特に、不等式\(ax^2+bx+c\)>\(0\)で\(a=0\)の場合も含めて考えなくてはならないときは要注意。
不等号の種類や向きにも注意しながら、問題の意図をしっかりと読み解いていきたい。

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