答えを求める上で理解の助けとなるのがグラフ。
グラフの形は基本的に2次関数のグラフと同じ形になる。
なので、2次不等式を解いていく上で2次関数の理解が欠かせない。

2次式とは、最も次数の高い項の次数が「2」の式ということ。
不等式とは、数や式の大小関係を表す式のことで、数や式の大小関係は「不等号」という記号を使って表す。

左辺と右辺の値が等しいことを表す式を「等式」、左辺と右辺の値の大小関係を表す式を「不等式」と呼ぶ。




また、不等式の全ての解を求めることを不等式を解くと呼ぶ。
2次不等式は、2次関数のグラフと深い関係がある。
例えば、2次不等式\(x^2-4x+3\)>\(0\)を考える場合、左辺から
\[y=x^2-4x+3\] と対応する関数のグラフを描いてみる。

\(x^2-4x+3\)>\(0\)と\(y=x^2-4x+3\)から

\(y\)>\(0\)というのは\(xy\)平面だけで見てみると

\(y=x^2-4x+3\)のグラフを反映させると

\(x\)軸よりも上にある\(x\)の範囲が、元の不等式の「解」になる。

こんな感じ。
順番に流れを見てみると

こんな感じ。
これがグラフで視覚的に見た2次不等式を解く流れ。
☆左辺
基本的に2次不等式の左辺\(ax^2+bx+c\)は、\(a\)>\(0\)の形に統一してから解く。\(a\)<\(0\)の場合は、不等式の両辺に負の数を掛けて\(a\)>\(0\)の形にする。例えば、\(-x^2+4x-3\)<\(0\)は\(a\)<\(0\)なので、両辺に\(-1\)を掛けて\(x^2-4x+3\)>\(0\)の形にして解く。そうすることで、関数のグラフを考える時、常に下に凸のグラフで考えるだけでよくなる。


つまり、これは\(y=0\)のときの\(x\)の値が2次不等式の解に直結する。
\(y=0\)のときの\(x\)の値というのは\(x\)軸との共有点のお話を対応することで求めることができる。

基本的な解き方は、以下の4ステップ。
①2次方程式を解く
②共有点の個数
③範囲
④解
例えば、2次不等式\(x^2-4x+3\)>\(0\)を解く場合、左辺を2次関数\(y=x^2-4x+3\)で考える。
この関数が\(x\)軸と交わる点、つまり\(y=0\)となるときの\(x\)の値を求める。
①2次方程式\(x^2-4x+3=0\)を解く

異なる2つの実数解があるので、共有点は2個あると分かる。

\(x^2-4x+3\)>\(0\)と\(y=x^2-4x+3\)から


④解
\(x\)の範囲をグラフで見ると

よって

2次関数\(y=ax^2+bx+c\)において\(D\)>\(0\)のとき、以前「2次関数におけるx軸との共有点の求め方」で確認した通り、\(x\)軸との共有点は2個ある。
不等式の種類や共有点の個数が変わると、解の範囲も変わってくる。
それを踏まえて、\(y=ax^2+bx+c\)とおいてグラフを考えたときに、不等式の種類と共有点の個数に応じた解のパターンを表にまとめてみる。

2次関数のグラフを使ってイメージすると、「どこが正になっているか」「どこが負になっているか」が視覚的に捉えやすくなる。
実際に不等式を解くときも、グラフを思い浮かべながら考えると理解が深まる。
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例題を解きながら、2次不等式の解き方を確認する。


\(x^2+2x=0\)を解く。

異なる2つの実数解があるので、\(y=x^2+2x\)と\(x\)軸との共有点は2個あると分かる。

\(x^2+2x\)≦\(0\)と\(y=x^2+2x\)より\(y\)≦\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。

\(x\)の範囲をグラフで見ると

よって


\(x^2-2x+1=0\)を解く。

重解なので、\(y=x^2-2x+1\)と\(x\)軸との共有点は1個あると分かる。

\(x^2-2x+1\)≦\(0\)と\(y=x^2-2x+1\)より\(y\)≦\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。

\(x\)の範囲を見ると一点しかない。


\(x^2-4x+5=0\)を解く。
判別式\(D=b^2-4ac\)より
②共有点の個数
解なしとなるので、\(y=x^2-4x+5\)と\(x\)軸との共有点は0個と分かる。

\(x^2-4x+5\)<\(0\)と\(y=x^2-4x+5\)より\(y\)<\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。

グラフから分かるように解となる\(x\)の範囲はない。


\(x^2+2x+2=0\)を解く。
判別式\(D=b^2-4ac\)より
②共有点の個数
解なしとなるので、\(y=x^2+2x+2\)と\(x\)軸との共有点は0個と分かる。

\(x^2+2x+2\)≧\(0\)と\(y=x^2+2x+2\)より\(y\)≧\(0\)なので\(x\)軸の上部分が解の範囲。

グラフから分かるようにすべての\(x\)の範囲が解となる。

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\(ax^2+bx+c=0\)(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\)) | |
\(y=ax^2+bx+c\)(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\)) | |
\(ax^2+bx+c\)>\(0\) \(ax^2+bx+c\)<\(0\) \(ax^2+bx+c\)≧\(0\) \(ax^2+bx+c\)≦\(0\) (\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\)) |
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判別式や\(x\)軸との共有点、そして1次不等式の解の範囲の考え方が身についていれば、2次不等式もスムーズに解いていける。
もし途中でつまずいたら、そのポイントの元になっている単元に戻って理解を深めていきたい。