2次不等式とは?グラフから理解する基本的な解き方

2次関数がある程度理解出来たら、2次不等式を解くことができるようになる。
答えを求める上で理解の助けとなるのがグラフ。
グラフの形は基本的に2次関数のグラフと同じ形になる。
なので、2次不等式を解いていく上で2次関数の理解が欠かせない。

2次不等式とは?

2次不等式とは、2次式の不等式ということ。
2次式とは、最も次数の高い項の次数が「2」の式ということ。
不等式とは、数や式の大小関係を表す式のことで、数や式の大小関係は「不等号」という記号を使って表す。

左辺と右辺の値が等しいことを表す式を「等式」、左辺と右辺の値の大小関係を表す式を「不等式」と呼ぶ。

2次不等式は基本的に左辺が\(x\)の2次式、右辺が\(0\)、\(a,b,c\)は定数で\(a≠0\)の形が基本の形となる。
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
例えば
\(x^2-4x+3\)>\(0\)
こんな感じ。

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グラフで見る2次不等式

\(x\)についての不等式において、その不等式を満たす\(x\)の値を、その不等式の解と呼ぶ。
また、不等式の全ての解を求めることを不等式を解くと呼ぶ。
2次不等式は、2次関数のグラフと深い関係がある。
例えば、2次不等式\(x^2-4x+3\)>\(0\)を考える場合、左辺から
\[y=x^2-4x+3\] と対応する関数のグラフを描いてみる。
こんな感じに\(a\)>\(0\)なので下に凸の放物線になる。
\(x^2-4x+3\)>\(0\)と\(y=x^2-4x+3\)から
となる。
\(y\)>\(0\)というのは\(xy\)平面だけで見てみると
こんな感じに\(y\)軸の\(0\)より上、つまり\(x\)軸の上部分ということが分かる。
\(y=x^2-4x+3\)のグラフを反映させると
こんな感じ。
\(x\)軸よりも上にある\(x\)の範囲が、元の不等式の「」になる。

こんな感じ。
順番に流れを見てみると

こんな感じ。
これがグラフで視覚的に見た2次不等式を解く流れ。

☆左辺
基本的に2次不等式の左辺\(ax^2+bx+c\)は、\(a\)>\(0\)の形に統一してから解く。\(a\)<\(0\)の場合は、不等式の両辺に負の数を掛けて\(a\)>\(0\)の形にする。例えば、\(-x^2+4x-3\)<\(0\)は\(a\)<\(0\)なので、両辺に\(-1\)を掛けて\(x^2-4x+3\)>\(0\)の形にして解く。そうすることで、関数のグラフを考える時、常に下に凸のグラフで考えるだけでよくなる。

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2次不等式の解き方

グラフで見た通り、\(x\)軸の上部分か下部分かが2次不等式の解に直結する。
つまり、これは\(y=0\)のときの\(x\)の値が2次不等式の解に直結する。
\(y=0\)のときの\(x\)の値というのは\(x\)軸との共有点のお話を対応することで求めることができる。

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2次関数におけるx軸との共有点の求め方 さっきの繰り返しになるけど、2次不等式の具体的な解を求めてみる。
基本的な解き方は、以下の4ステップ。
①2次方程式を解く
②共有点の個数
③範囲
④解
例えば、2次不等式\(x^2-4x+3\)>\(0\)を解く場合、左辺を2次関数\(y=x^2-4x+3\)で考える。
この関数が\(x\)軸と交わる点、つまり\(y=0\)となるときの\(x\)の値を求める。
①2次方程式\(x^2-4x+3=0\)を解く
②共有点の個数
異なる2つの実数解があるので、共有点は2個あると分かる。
③範囲
\(x^2-4x+3\)>\(0\)と\(y=x^2-4x+3\)から
となり、\(y=x^2-4x+3\)のグラフを反映させると
こんな感じになる。
④解
\(x\)の範囲をグラフで見ると
こんな感じになる。
よって
\(x\)<\(1,3\)<\(x\)
という2次不等式の解が導き出せる。

パターン化する

まとめると、2次不等式は次の4種類ある。
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)
\(ax^2+bx+c=0\)の異なる2つの実数解を\(α,β\)(\(α\)<\(β\))とすると各2次不等式の解は次のようになる。
2次不等式
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
\(x\)<\(α,β\)<\(x\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)
\(α\)<\(x\)<\(β\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)
\(x\)≦\(α,β\)≦\(x\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)
\(α\)≦\(x\)≦\(β\)
これは、判別式\(D=b^2-4ac\)が\(D\)>\(0\)のとき、つまり異なる2つの実数解をもつ場合の解となる。
2次関数\(y=ax^2+bx+c\)において\(D\)>\(0\)のとき、以前「2次関数におけるx軸との共有点の求め方」で確認した通り、\(x\)軸との共有点は2個ある。
不等式の種類や共有点の個数が変わると、解の範囲も変わってくる。
それを踏まえて、\(y=ax^2+bx+c\)とおいてグラフを考えたときに、不等式の種類と共有点の個数に応じた解のパターンを表にまとめてみる。
こんな感じに、2次不等式の解は、不等式の種類と\(x\)軸との共有点の個数によって分類できる。
2次関数のグラフを使ってイメージすると、「どこが正になっているか」「どこが負になっているか」が視覚的に捉えやすくなる。
実際に不等式を解くときも、グラフを思い浮かべながら考えると理解が深まる。

例題

例題を解きながら、2次不等式の解き方を確認する。

(1)

\(2x^2+4x\)≦\(0\)の両辺を2で割って簡単にする。
\(x^2+2x\)≦\(0\)
①2次方程式を解く
\(x^2+2x=0\)を解く。
②共有点の個数
異なる2つの実数解があるので、\(y=x^2+2x\)と\(x\)軸との共有点は2個あると分かる。
③範囲
\(x^2+2x\)≦\(0\)と\(y=x^2+2x\)より\(y\)≦\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。
④解
\(x\)の範囲をグラフで見ると
こんな感じ。
よって
\(-2\)≦\(x\)≦\(0\)
これが答え。

(2)

\(8x\)≧\(4x^2+4\)の両辺を\(4\)で割って右辺が\(0\)になるように整理する。
①2次方程式を解く
\(x^2-2x+1=0\)を解く。
②共有点の個数
重解なので、\(y=x^2-2x+1\)と\(x\)軸との共有点は1個あると分かる。
③範囲
\(x^2-2x+1\)≦\(0\)と\(y=x^2-2x+1\)より\(y\)≦\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。
④解
\(x\)の範囲を見ると一点しかない。
よって
\(x=1\)
これが答え。

(3)

①2次方程式を解く
\(x^2-4x+5=0\)を解く。
判別式\(D=b^2-4ac\)より
\(D\)\(=b^2-4ac=(-4)^2-4・1・5=16-20=-4\)<\(0\)
\(D\)<\(0\)より解なし
②共有点の個数
解なしとなるので、\(y=x^2-4x+5\)と\(x\)軸との共有点は0個と分かる。
③範囲
\(x^2-4x+5\)<\(0\)と\(y=x^2-4x+5\)より\(y\)<\(0\)なので\(x\)軸の下部分が解の範囲。
④解
グラフから分かるように解となる\(x\)の範囲はない。
よって
解なし
これが答え。

(4)

①2次方程式を解く
\(x^2+2x+2=0\)を解く。
判別式\(D=b^2-4ac\)より
\(D\)\(=b^2-4ac=2^2-4・1・2=4-8=-4\)<\(0\)
\(D\)<\(0\)より解なし
②共有点の個数
解なしとなるので、\(y=x^2+2x+2\)と\(x\)軸との共有点は0個と分かる。
③範囲
\(x^2+2x+2\)≧\(0\)と\(y=x^2+2x+2\)より\(y\)≧\(0\)なので\(x\)軸の上部分が解の範囲。
④解
グラフから分かるようにすべての\(x\)の範囲が解となる。
よって
すべての実数
これが答え。

定義を知る

2次方程式
\(ax^2+bx+c=0\)(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\))
2次関数
\(y=ax^2+bx+c\)(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\))
2次不等式
\(ax^2+bx+c\)>\(0\)
\(ax^2+bx+c\)<\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≧\(0\)
\(ax^2+bx+c\)≦\(0\)
(\(a,b,c\)は定数、\(a≠0\))

まとめ

ここまで学んできた2次方程式や2次関数の知識が、2次不等式の理解にもそのまま活かせる。
判別式や\(x\)軸との共有点、そして1次不等式の解の範囲の考え方が身についていれば、2次不等式もスムーズに解いていける。
もし途中でつまずいたら、そのポイントの元になっている単元に戻って理解を深めていきたい。

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