区間ってなに?2次関数の最大値と最小値

2次関数のグラフのかき方でやったように、グラフには最大値とか最小値とかがある。
「グラフ」というより「関数」に最大値とか最小値があるというべきか。
さらに定義域が設定されて区間が決められていた場合、その最大値と最小値が変わったりする。
最大値も最小値も無い、なんてこともある。
意外とややこしくて厄介。
わけが分からないので1つずつ確認していく。

※結構長いよ

2次関数の最大と最小

2次関数\(y=ax^2+bx+c\)における\(a\)の値、もしくは\(y=a(x-p)^2+q\)における\(a\)の値を見る。
\(a\)の値が、プラス(\(a\)>\(0\))のときは下に凸、マイナス(\(a\)<\(0\))のときは上に凸になる。
下に凸のときは最小があって、上に凸のときは最大がある。
とりあえず座標軸は邪魔だから取っ払ってみて見てみると、
こんな感じ。
この最大とか最小の値、つまり最大値とか最小値は頂点の\(y\)座標となる。
\(y=a(x-p)^2+q\)でいうと「点\((p,q)\)」が頂点だから\(q\)となる。
こんな感じ。
まとめると、
\(a\)>\(0\)の場合、\(x=p\)のとき最小値\(q\)で最大値はない。
\(a\)<\(0\)の場合、\(x=p\)のとき最大値\(q\)で最小値はない。

定義域の制限

定義域が設定されて区間が決められていた場合、最大値・最小値が変わったりする。
関数の定義域を示すとき、関数の式の後に( )を付けて\[y=(x-2)^2+1 (1≦x≦4)\]と不等号を使って表す。
例えば、\(y=(x-2)^2+1 (1≦x≦4)\)は、

こんな感じに、実線のようなグラフになる。

区間ってなに?

区間とは、\(x\)の値の範囲の実数\(x\)の集合のこと。
集合っていうのは範囲がはっきりしたものの集まりのこと。
定義域は、関数\(y=f(x)\)における\(x\)の変域のこと。
つまり定義域はただの範囲、区間はその範囲内の実数の集まり
\(h≦x≦k\)とかだと
こんな感じ。
範囲か、範囲内の集合かの違い。
似ているようでちょっと違う。
まぁ、ほぼ同じか。
\(1≦x≦4\)だと
こんな感じ。
グラフの最大値と最小値を考えるとき、区間の中央値から求めたりする。
区間の中央値\(c\)は、区間のちょうど真ん中の値のこと。
真ん中、つまり「センター(center)」の頭文字で中央値\(c\)。
式で表すと、
こんな感じ。
区間の端を足して2で割った値になる。
\(1≦x≦4\)だと

こんな感じ。

定義域に制限があるときの最大と最小

2次関数\(y=a(x-p)^2+q (h≦x≦k)\)の場合、定義域に「\(h≦x≦k\)」という制限がある。
定義域に制限があるときの最大と最小は4パターン考えられる。
結論から言うと、区間の端である「\(x=h\)」か「\(x=k\)」か、軸である「\(x=p\)」のどれかで最大値・最小値をとることになる。
この最大値・最小値は、「軸\(x=p\)」と「区間の中央値\(c=\frac{h+k}{2}\)」の位置を見ながら考えなきゃいけない。
軸は、頂点\((p,q)\)の\(x\)座標なので\(x=p\)が軸。

とりあえず、まずは\(a\)>\(0\)(下に凸)から考えてみる。
考え方としては、軸の位置が区間の中か外か中央値と同じか違うかを最大値と最小値別に見ていく。

①\(a\)>\(0\)(下に凸)の最大値
\(a\)>\(0\)の場合、区間の端のうち、軸から遠い方最大値になる。
まず、軸と区間の中央値の位置が同じか違うかを見る。

こんな感じ。
軸と中央値が同じときは、軸から同じだけ離れているから区間の両端とも最大値ってことが分かる。
軸と中央値が違うときは、軸から遠い方の区間の端が最大値ってことが分かる。

\(a\)>\(0\)(下に凸)の最大値はこんな感じになる。

②\(a\)>\(0\)(下に凸)の最小値
\(a\)>\(0\)の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方最小値になる。
まず、軸の位置が区間の中なのか外なのかを見る。

こんな感じ。
軸の位置が区間ののときは、頂点が軸に一番近い、というか重なっているから問答無用で頂点最小値ってことが分かる。
軸の位置が区間ののときは、区間の端のうち軸に近い方最小値ってことが分かる。

\(a\)>\(0\)(下に凸)の最小値はこんな感じになる。

この①、②が\(a\)>\(0\)(下に凸)のときの最大値と最小値の考え方。
今度は、\(a\)<\(0\)(上に凸)の場合を考えてみる。
同じように、軸の位置が区間の中か外か中央値よりも右か左かを最大値と最小値別に見ていく。

③\(a\)<\(0\)(上に凸)の最大値
\(a\)<\(0\)の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方最大値になる。
まず、軸の位置が区間の中なのか外なのかを見る。

こんな感じ。
軸の位置が区間ののときは、頂点が軸に一番近い、というか重なっているから問答無用で頂点最大値ってことが分かる。
軸の位置が区間ののときは、区間の端のうち軸に近い方最大値ってことが分かる。

\(a\)<\(0\)(上に凸)の最大値はこんな感じになる。

④\(a\)<\(0\)(上に凸)の最小値
\(a\)<\(0\)の場合、区間の端のうち、軸から遠い方最小値になる。
まず、軸の位置が区間の中央値と同じか違うかを見る。

こんな感じ。
軸と中央値が同じときは、軸から同じだけ離れているから区間の両端とも最小値ってことが分かる。
軸と中央値が違うときは、軸から遠い方の区間の端が最小値ってことが分かる。

\(a\)<\(0\)(上に凸)の最小値はこんな感じになる。

この③、④が\(a\)<\(0\)(上に凸)のときの最大値と最小値の考え方。
表にまとめると、

こんなイメージ。
この4パターンを使い分けて運用できるようになれば問題なし。
といっても、①と②の\(a\)>\(0\)(下に凸)の方だけ覚えておけばいいかなって感じ。
\(a\)<\(0\)(上に凸)のときは逆になるだけだから。

最大と最小がないとき

今まで散々最大値と最小値のお話をしてきたけど、必ずしも最大値・最小値があるとは限らない。
例えば、\(y=(x-2)^2+1 (x≦4)\)
このグラフには最大値がない。
\(y\)軸方向に対して果てしなくプラスへ続くグラフは最大値がない。
次に、\(y=-(x-2)^2+1 (x≧1)\)
このグラフには最小値がない。
\(y\)軸方向に対して果てしなくマイナスへ続くグラフは最小値がない。
そして、\(y=(x-2)^2+1 (3\)<\(x\)<\(5)\)
このグラフには最小値も最大値もない。
\(3\)<\(x\)<\(5\)において、\(x\)が限りなく\(3\)に近づくとき、それに対応して\(y\)も限りなく\(2\)に近づくが、\(2\)になることはないため最小値はない。
同様に、\(x\)が限りなく\(5\)に近づくとき、それに対応して\(y\)も限りなく\(10\)に近づくが、\(10\)になることはないため最大値はない。
最大値とか最小値がない場合は「最大値はない」「最小値はない」って答える。
「ない」というのも立派な答え。
果てしなくプラスへ続く、果てしなくマイナスへ続く、不等号が「>」「<」の定義域のときには最大値・最小値がなかったりするので要注意。

例題

例題を解きながら2次関数の最大値と最小値の求め方を確認する。

2次関数の最大と最小

(1)
まずは、\(y=2x^2+12x+20\)を平方式に平方完成する。
\(y=2x^2+12x+20\)
\(y=2(x^2+6x)+20\)
\(y=2(x^2+6x+9-9)+20\)
\(y=2\{(x+3)^2-9\}+20\)
\(y=2(x+3)^2-18+20\)
\(y=2(x+3)^2+2\)
これで、頂点の座標が\((-3,2)\)、\(x^2\)の係数はプラスだから下に凸だということが分かった。
グラフに表すとこんな感じ。
\(a\)>\(0\)(下に凸)の場合、\(x=p\)のとき最小値\(q\)で最大値はない。
つまり、

\(x=-3\)で最小値\(2\)
最大値はない
これが答え。

(2)
まずは、\(y=-2x^2+3x-1\)を平方式に平方完成する。
\(y=-2x^2+3x-1\)
\(y=-2(x^2-\frac{3}{2}x)-1\)
\(y=-2\{x^2-\frac{3}{2}x+(\frac{3}{4})^2-(\frac{3}{4})^2\}-1\)
\(y=-2\{(x-\frac{3}{4})^2-(\frac{3}{4})^2\}-1\)
\(y=-2(x-\frac{3}{4})^2+2(\frac{3}{4})^2-1\)
\(y=-2(x-\frac{3}{4})^2+2(\frac{9}{16})-1\)
\(y=-2(x-\frac{3}{4})^2+\frac{9}{8}-1\)
\(y=-2(x-\frac{3}{4})^2+\frac{1}{8}\)
これで、頂点の座標が\((\frac{3}{4},\frac{1}{8})\)、\(x^2\)の係数はマイナスだから上に凸だということが分かった。

グラフに表すとこんな感じ。
\(a\)<\(0\)(上に凸)の場合、\(x=p\)のとき最大値\(q\)で最小値はない。
つまり、
\(x=\frac{3}{4}\)で最大値\(\frac{1}{8}\)
最小値はない

これが答え。
☆答え方のお話
 「関数\(y=f(x)\)の最大値・最小値を求めよ」という問題で、文中に特に指示がなくても、慣習として最大値・最小値を与える\(x\)の値も示しておく。

区間における最大と最小

(3)
まずは、\(y=2x^2-4x\)を平方式に平方完成する。
\(y=2x^2-4x\)
\(y=2(x^2-2x)\)
\(y=2(x^2-2x+1-1)\)
\(y=2\{(x-1)^2-1\}\)
\(y=2(x-1)^2-2\)
これで、頂点の座標が\((1,-2)\)、\(x^2\)の係数はプラスだから下に凸だということが分かった。
グラフに表すとこんな感じ。
定義域に制限があるときは、とりあえずグラフは点線で表しておく。
最大値と最小値のうち、最大値がどうなるか考える。
定義域に制限があるときの、「①\(a\)>\(0\)(下に凸)の最大値」のパターンを使う。
\(a\)>\(0\)の場合、区間の端のうち、軸から遠い方最大値になる。
まず、軸と区間の中央値の位置が同じか違うかを見る。
軸は\(x=1\)で、定義域\(0≦x≦3\)より、区間の中央値は\(c=\frac{0+3}{2}=\frac{3}{2}\)なので、軸と中央値の位置は違う
軸と中央値が違うときは、軸から遠い方の区間の端が最大値ってことが分かる。
このパターン。
区間の端は\(0\)と\(3\)で、軸\(x=1\)から遠いのは\(3\)だから、\(x=3\)のときに最大値をとる。
\(y=2x^2-4x\)に\(x=3\)を代入する。
\(y=2x^2-4x\)
\(y=2・3^2-4・3\)
\(y=18-12\)
\(y=6\)
よって、\(x=3\)で最大値\(6\)
グラフで見るとこんな感じ。
次に最小値がどうなるか考える。
定義域に制限があるときのパターンのうち、「②\(a\)>\(0\)(下に凸)の最小値」を使う。
\(a\)>\(0\)の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方最小値になる。
まず、軸の位置が区間の中なのか外なのかを見る。
軸は\(x=1\)で、定義域は\(0≦x≦3\)なので、軸の位置は区間のにある。
軸の位置が区間ののときは、頂点が軸に一番近い、というか重なっているから問答無用で頂点最小値ってことが分かる。
このパターン。
で、頂点は座標が\((1,-2)\)ということが分かっている。
よって、\(x=1\)で最小値\(-2\)

グラフで見るとこんな感じ。
ということで、
\(x=3\)で最大値\(6\)
\(x=1\)で最小値\(-2\)
これが答え。

(4)
まずは、\(y=-\frac{1}{2}x^2-2x-1\)を平方式に平方完成する。
\(y=-\frac{1}{2}x^2-2x-1\)
\(y=-\frac{1}{2}(x^2+4x)-1\)
\(y=-\frac{1}{2}(x^2+4x+4-4)-1\)
\(y=-\frac{1}{2}\{(x+2)^2-4\}-1\)
\(y=-\frac{1}{2}(x+2)^2+2-1\)
\(y=-\frac{1}{2}(x+2)^2+1\)
これで、頂点の座標が\((-2,1)\)、\(x^2\)の係数はマイナスだから上に凸だということが分かった。

グラフに表すとこんな感じ。
定義域に制限があるので、とりあえずグラフは点線で表しておく。
最大値と最小値のうち、最大値がどうなるか考える。
定義域に制限があるときの、「③\(a\)<\(0\)(上に凸)の最大値」のパターンを使う。
\(a\)<\(0\)の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方最大値になる。
まず、軸の位置が区間の中なのか外なのかを見る。
軸は\(x=-2\)で、定義域は\(-3≦x\)<\(1\)なので、軸の位置は区間のにある。
軸の位置が区間ののときは、頂点が軸に一番近い、というか重なっているから問答無用で頂点最大値ってことが分かる。
このパターン。
で、頂点は座標が\((-2,1)\)ということが分かっている。
よって、\(x=-2\)で最大値\(1\)
グラフで見るとこんな感じ。
次に最小値がどうなるか考える。
定義域に制限があるときの、「④\(a\)<\(0\)(上に凸)の最小値」のパターンを使う。
\(a\)<\(0\)の場合、区間の端のうち、軸から遠い方最小値になる。
軸の位置が区間の中央値と同じか違うかを見る。
軸は\(x=-2\)で、定義域\(-3≦x\)<\(1\)より、区間の中央値は\(c=\frac{-3+1}{2}=-\frac{2}{2}=-1\)なので、軸と中央値の位置は違う
軸と中央値が違うときは、軸から遠い方の区間の端が最小値ってことが分かる。
このパターン。
区間の端は\(-3\)と\(1\)で、軸\(x=-2\)から遠いのは\(1\)だから、\(x=1\)のときに最小値をとる。
と、言いたいところだけど、今回の定義域\(-3≦x\)<\(1\)の「<」に注目。
\(x\)を限りなく\(1\)に近づけても、\(1\)になることはないため最小値はない。
よって、最小値はない
グラフで見るとこんな感じ。
ということで、
\(x=-2\)で最大値\(1\)
最小値はない
これが答え。

定義を知る

平方式
\(a(x-p)^2+q\)
平方完成
2次の多項式を平方式や完全平方式に変形させること
定義域
関数\(y=f(x)\)における\(x\)の変域のこと
区間
定義域に制限がある際の、\(x\)の値の範囲の実数\(x\)の集合のこと
中央値
区間のちょうど真ん中の値のこと
中央値\(c=\frac{h+k}{2}\)

まとめ

最大値と最小値は意外とややこしい。
まずは大原則、\(y=a(x-p)^2+q\)において、
\(a\)>\(0\)の場合、\(x=p\)のとき最小値\(q\)で最大値はない。
\(a\)<\(0\)の場合、\(x=p\)のとき最大値\(q\)で最小値はない。
この2つが大事。
定義域に制限があるときの最大と最小は、4パターンで考えることができる。
ややこしいけど、一応これが基本となる。
そこから応用して、区間の端が動いたり、文字の係数が変わったりすることもある。
何はともあれ、いくつも例題や問題を解いて、基本を身に着けておきたい。

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