ド・モルガンの法則ってなに?ひっくり返る集合の関係

集合の関係の中で、「ド・モルガンの法則」という法則がある。
これは、補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わるというもの。
記号がややこしいように見えて、法則自体は意外とシンプル。

共通部分ってなに?

共通部分は、集合\(A\)と集合\(B\)の両方に属する要素全体の集合のこと。
\(A∩B\)と書いて、「\(A\)かつ\(B\)」と読む。

合わせて読みたい

共通部分ってなに?和集合ってなに?記号の意味と覚え方

和集合ってなに?

和集合は、集合\(A\)と集合\(B\)の少なくとも一方に属する要素全体の集合のこと。
\(A∪B\)と書いて、「\(A\)または\(B\)」と読む。

合わせて読みたい

共通部分ってなに?和集合ってなに?記号の意味と覚え方

補集合ってなに?

補集合は、全体集合の要素で、ある集合に属さない要素全体の集合のこと。
\(\overline{A}\)と表し、一般化すると \[\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\] こんな感じになる。

合わせて読みたい

全体集合ってなに?空集合・補集合と記号の意味

ド・モルガンの法則ってなに?

ド・モルガンの法則の2つの式を並べた画像
ド・モルガンの法則とは \[\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\] \[\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\] という2つの式が成り立つ法則のこと。
何故これが成り立つのか、ベン図と式でそれぞれ考えてみる。

ベン図で証明

(1)\(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)
\((a)\overline{A∪B}\)について
\(A∪B\)をベン図で表すと
こんな感じ。
\(A∪B\)の補集合\(\overline{A∪B}\)をベン図で表すと
こんな感じ。
\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)をベン図で表すと

集合Aの補集合と集合Bの補集合の2つの集合を横に並べた画像
こんな感じ。
\(\overline{A}\)かつ\(\overline{B}\)である\(\overline{A}∩\overline{B}\)をベン図で表すと
こんな感じ。

\((a)\overline{A∪B}\)\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)のベン図は同じになるため
\[\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\] が成り立つ。

(2)\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)
\((a)\overline{A∩B}\)について
\(A∩B\)をベン図で表すと
こんな感じ。
\(A∩B\)の補集合\(\overline{A∩B}\)をベン図で表すと
こんな感じ。

\((b)\overline{A}∪\overline{B}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)をベン図で表すと
集合Aの補集合と集合Bの補集合の2つの集合を横に並べた画像
こんな感じ。
\(\overline{A}\)または\(\overline{B}\)である\(\overline{A}∪\overline{B}\)をベン図で表すと
こんな感じ。

\((a)\overline{A∩B}\)\((b)\overline{A}∪\overline{B}\)のベン図は同じになるため
\[\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\] が成り立つ。

式で証明

(1)\(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)
\((a)\overline{A∪B}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\)より\(\overline{A∪B}=\{x|x∈Uかつx∉A∪B\}\)となる。
\(x∉A∪B\)は、\(x\)は「\(A\)または\(B\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(x\)は\(A\)にも属していないし、\(B\)にも属していないということ。
なので、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)」ということができる。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)は「\(x∈A\)かつ\(x∈B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∩\overline{B}\)」となる。
「\(\overline{A∪B}\)ならば\(\overline{A}∩\overline{B}\)」なので、 \[\overline{A∪B}⊂\overline{A}∩\overline{B}\]
\((b)\overline{A}∩\overline{B}\)について
\(\overline{A}∩\overline{B}=\{x|x∈Uかつx∉Aかつx∉B\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)」が成り立つ。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)より、\(x\)は\(A\)にも属していないし、\(B\)にも属していない。
これは「\(A\)または\(B\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∪B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∪B}\)」となる。
「\(\overline{A}∩\overline{B}\)ならば\(\overline{A∪B}\)」なので、 \[\overline{A}∩\overline{B}⊂\overline{A∪B}\] \((a)\overline{A∪B}⊂\overline{A}∩\overline{B}\)\((b)\overline{A}∩\overline{B}⊂\overline{A∪B}\)が同時に成り立つので \[\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\] が成り立つ。

(2)\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)
\((a)\overline{A∩B}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈Uかつx∉A\}\)より\(\overline{A∩B}=\{x|x∈Uかつx∉A∩B\}\)となる。
\(x∉A∩B\)は、\(x\)は「\(A\)かつ\(B\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(A\)に属していないか、\(B\)に属していないということ。
なので、「\(x∉A\)または\(x∉B\)」ということができる。
\(x∉A\)または\(x∉B\)は「\(x∈\overline{A}\)または\(x∈\overline{B}\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∪\overline{B}\)」となる。
「\(\overline{A∩B}\)ならば\(\overline{A}∪\overline{B}\)」なので、 \[\overline{A∩B}⊂\overline{A}∪\overline{B}\] \((b)\overline{A}∪\overline{B}\)について
\(\overline{A}∪\overline{B}=\{x|x∈Uかつx∉Aまたはx∉B\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)または\(x∉B\)」が成り立つ。
\(x∉A\)または\(x∉B\)より、\(x\)は\(A\)に属していないか、\(B\)に属していない。
これは「\(A\)かつ\(B\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∩B\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∩B}\)」となる。
「\(\overline{A}∪\overline{B}\)ならば\(\overline{A∩B}\)」なので、 \[\overline{A}∪\overline{B}⊂\overline{A∩B}\] \((a)\overline{A∩B}⊂\overline{A}∪\overline{B}\)\((b)\overline{A}∪\overline{B}⊂\overline{A∩B}\)が同時に成り立つので \[\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\] が成り立つ。

合わせて読みたい

部分集合ってなに?記号の意味
☆オーガスタス・ド・モルガンさん

ド・モルガンの法則の名称は、インド生まれのイギリスの数学者オーガスタス・ド・モルガンさんにより考案されたことが由来となっている。数学的帰納法の定式化を行ったりもしている人だったらしい。

覚え方

ド・モルガンの法則の2つの式のうち、補集合によって「共通部分」と「和集合」が入れ替わっている式を並べた画像
ド・モルガンの法則は、補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わるという法則。
式で見ると
  • \(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)(和集合の補集合は共通部分になる)
  • \(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)(共通部分の補集合は和集合になる)
こんな感じに、補集合を取ると「共通部分(\(∩\))」と「和集合(\(∪\))」の関係が入れ替わっている。
式にすると2つ成り立つということになるけど、
補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わる
ということだけ覚えておけば良き。

定義を知る

ベン図
集合と集合の関係を図で表したもの
集合
範囲がはっきりしているものの集まり
要素(元)
\(a∈A\)
\(a\)は\(A\)に属する
\(a\)は\(A\)の要素
全体集合
\(U\)
すべての要素をまとめた集合
部分集合
\(A⊂B\)
\(A\)は\(B\)に含まれる
\(B\)は\(A\)を含む
共通部分
\(A∩B\)
\(A\)かつ\(B\)
和集合
\(A∪B\)
\(A\)または\(B\)
補集合
\(\overline{A}\)
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合

まとめ

ド・モルガンの法則は、反転のルール。
補集合を取ると「共通部分(\(∩\))」と「和集合(\(∪\))」の関係が入れ替わる。
ベン図で見ると直感的に理解できる。
集合論・論理・データ処理など多くの分野で登場し、関係の反転を扱うときの基礎になる。
できれば証明のやり方も覚えておきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。