集合の要素の個数を求める問題は、2つの集合であれば個数定理を使って比較的スムーズに求められるようになる。
だけど、集合が3つになると、式が一気に長くなって分かりづらくなる。
といっても、3つの集合の個数定理も、考え方の基本は2つの集合の場合とまったく同じ。
どこを何回数えているか整理することで、3つの集合の個数定理も理解できる。

このとき、3つの集合の和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)は

これを3つの集合の個数定理という。
式だけを見ると複雑だけど、実際には数えすぎの調整をしているだけ。

①\(n(A)+n(B)+n(C)\)
②\(-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)\)
③\(+n(A∩B∩C)\)
この3つの段階に分けて考える。
最終的に、和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)を求めることを目指す。

このとき、
・\(A∩B\)に属する要素
・\(B∩C\)に属する要素
・\(C∩A\)に属する要素
は2回ずつ数えられている。

ここで、\(A∩B∩C\)に属する要素に注目してみると、3回足して3回引いている。
結果としてちょうど0回分になってしまっている。

こうすることで、すべての要素がちょうど1回ずつ数えられることになり、和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)を求めることができる。
これが、3つの集合の個数定理の基本的な考え方となる。
この流れは、2つの集合の個数定理 \[n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)\] と本質的に考え方は同じ。
☆包除原理
今やった個数定理は、より一般的には「包除原理(ほうじょげんり)」って呼ばれる。包除原理とは、「重なって数えた部分を引き、引きすぎた部分をまた足す」という手法のこと。複数の集合の要素の個数を正しく求める考え方のことで、2つの集合の個数定理も、3つの集合の個数定理も、この包除原理の具体例となる。さらに集合の数が4つ、5つと増えても、同じ考え方で要素の個数を求めることができる。
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例題を解きながら、3つの集合の個数定理の使い方を確認していく。

まずは\(720\)を素因数分解する。
\[720=72\cdot10=(8\cdot9)\cdot(2\cdot5)=(2^3\cdot3^2)\cdot(2\cdot5)=2^4\cdot3^2\cdot5\]
素因数分解については以下を参考。
素因数分解で平方因数を外に
約分できない分数は、\(1\)から\(719\)までの整数のうち、\(2\)でも\(3\)でも\(5\)でも割り切れない整数が分子に来たときとなる。
・\(1\)から\(719\)までの整数全体の集合を\(U\)
・\(2\)の倍数全体の集合を\(A\)
・\(3\)の倍数全体の集合を\(B\)
・\(5\)の倍数全体の集合を\(C\)
とおく。
集合\(A\)について(\(719÷2=359\)あまり\(1\)となることから) \[719=359\cdot2+1\] となるため \[A=\{2\cdot1,2\cdot2,\cdots,2\cdot359\}\] となり、集合\(A\)の要素の個数は359個ということが分かる。
集合\(B\)について(\(719÷3=239\)あまり\(2\)となることから) \[719=239\cdot3+2\] となるため \[B=\{3\cdot1,3\cdot2,\cdots,3\cdot239\}\] となり、集合\(B\)の要素の個数は239個ということが分かる。
集合\(C\)について(\(719÷5=143\)あまり\(4\)となることから) \[719=143\cdot5+4\] となるため \[C=\{5\cdot1,5\cdot2,\cdots,5\cdot143\}\] となり、集合\(C\)の要素の個数は143個ということが分かる。
また、
\(A∩B\)について(\(719÷6=119\)あまり\(5\)となることから) \[719=119\cdot6+5\] となるため \[A∩B=\{6\cdot1,6\cdot2,\cdots,6\cdot119\}\] となり、\(A∩B\)の要素の個数は119個ということが分かる。
\(B∩C\)について(\(719÷15=47\)あまり\(14\)となることから) \[719=47\cdot15+14\] となるため \[B∩C=\{15\cdot1,15\cdot2,\cdots,15\cdot47\}\] となり、\(B∩C\)の要素の個数は47個ということが分かる。
\(C∩A\)について(\(719÷10=71\)あまり\(9\)となることから) \[719=71\cdot10+9\] となるため \[C∩A=\{10\cdot1,10\cdot2,\cdots,10\cdot71\}\] となり、\(C∩A\)の要素の個数は71個ということが分かる。
\(A∩B∩C\)について(\(719÷30=23\)あまり\(29\)となることから) \[719=23\cdot30+29\] となるため \[A∩B∩C=\{30\cdot1,30\cdot2,\cdots,30\cdot23\}\] となり、\(A∩B∩C\)の要素の個数は23個ということが分かる。
それぞれの集合の要素の個数を整理すると \[n(U)=719\] \[n(A)=359\] \[n(B)=239\] \[n(C)=143\] \[n(A∩B)=119\] \[n(B∩C)=47\] \[n(C∩A)=71\] \[n(A∩B∩C)=23\] こんな感じ。
3つの集合の個数定理より
・\(1\)から\(719\)までの整数全体の集合を\(U\)
・\(2\)の倍数全体の集合を\(A\)
・\(3\)の倍数全体の集合を\(B\)
・\(5\)の倍数全体の集合を\(C\)
とおく。
集合\(A\)について(\(719÷2=359\)あまり\(1\)となることから) \[719=359\cdot2+1\] となるため \[A=\{2\cdot1,2\cdot2,\cdots,2\cdot359\}\] となり、集合\(A\)の要素の個数は359個ということが分かる。
集合\(B\)について(\(719÷3=239\)あまり\(2\)となることから) \[719=239\cdot3+2\] となるため \[B=\{3\cdot1,3\cdot2,\cdots,3\cdot239\}\] となり、集合\(B\)の要素の個数は239個ということが分かる。
集合\(C\)について(\(719÷5=143\)あまり\(4\)となることから) \[719=143\cdot5+4\] となるため \[C=\{5\cdot1,5\cdot2,\cdots,5\cdot143\}\] となり、集合\(C\)の要素の個数は143個ということが分かる。
また、
- \(A∩B\)は\(2\)の倍数かつ\(3\)の倍数なので\(6\)の倍数
- \(B∩C\)は\(3\)の倍数かつ\(5\)の倍数なので\(15\)の倍数
- \(C∩A\)は\(5\)の倍数かつ\(2\)の倍数なので\(10\)の倍数
- \(A∩B∩C\)は\(2\)の倍数かつ\(3\)の倍数かつ\(5\)の倍数なので\(30\)の倍数
\(A∩B\)について(\(719÷6=119\)あまり\(5\)となることから) \[719=119\cdot6+5\] となるため \[A∩B=\{6\cdot1,6\cdot2,\cdots,6\cdot119\}\] となり、\(A∩B\)の要素の個数は119個ということが分かる。
\(B∩C\)について(\(719÷15=47\)あまり\(14\)となることから) \[719=47\cdot15+14\] となるため \[B∩C=\{15\cdot1,15\cdot2,\cdots,15\cdot47\}\] となり、\(B∩C\)の要素の個数は47個ということが分かる。
\(C∩A\)について(\(719÷10=71\)あまり\(9\)となることから) \[719=71\cdot10+9\] となるため \[C∩A=\{10\cdot1,10\cdot2,\cdots,10\cdot71\}\] となり、\(C∩A\)の要素の個数は71個ということが分かる。
\(A∩B∩C\)について(\(719÷30=23\)あまり\(29\)となることから) \[719=23\cdot30+29\] となるため \[A∩B∩C=\{30\cdot1,30\cdot2,\cdots,30\cdot23\}\] となり、\(A∩B∩C\)の要素の個数は23個ということが分かる。
それぞれの集合の要素の個数を整理すると \[n(U)=719\] \[n(A)=359\] \[n(B)=239\] \[n(C)=143\] \[n(A∩B)=119\] \[n(B∩C)=47\] \[n(C∩A)=71\] \[n(A∩B∩C)=23\] こんな感じ。
3つの集合の個数定理より

これは約分できる分数の個数。
求めたいのは約分できない分数の個数なので、補集合の個数定理より

よって
192個
これが答え。
ベン図で見ると
ベン図で見ると

こんな感じ。
☆オイラーのトーシェント関数(オイラーのファイ関数)
オイラーのトーシェント関数(Euler’s totient function)とは、正の整数𝑛に対して、𝑛と互いに素な1以上𝑛以下の整数の個数を表す関数で、\(φ(n)\)と書く。一般に「オイラーの\(φ\)(ファイ)関数」とも呼ばれる。\(720=2^4\cdot3^2\cdot5\)より、
\[φ(720)=720(1-\frac{1}{2})(1-\frac{1}{3})(1-\frac{1}{5})=720\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\frac{4}{5}=192\]
これは、\(720\)と互いに素な\(1\)以上\(720\)以下の整数の個数を表している。なので、分母が\(720\)のとき約分できない分数の個数は192個であることが分かる。大学数学の範囲みたい。
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| 集合と集合の関係を図で表したもの | |
| 範囲がはっきりしているものの集まり | |
\(a∈A\) |
\(a\)は\(A\)に属する \(a\)は\(A\)の要素 |
\(U\) |
すべての要素をまとめた集合 |
\(A∩B\) |
\(A\)かつ\(B\) |
\(A∪B\) |
\(A\)または\(B\) |
\(\overline{A}\) |
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合 |
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3つの集合の個数定理は、「足す→引く→足す」で数えすぎを調整する考え方。
式は長く見えるけど、実際は数え過ぎを整理しているだけ。
この考え方は包除原理と呼ばれ、集合の数が増えても同じように使うことができる。
式を丸暗記するよりも、なぜそうなるのかを理解する方が覚えやすい。
すうがくのいえ 
