3つの集合の個数定理ってなに?集合の要素の個数の求め方

集合の要素の個数を求める問題は、2つの集合であれば個数定理を使って比較的スムーズに求められるようになる。
だけど、集合が3つになると、式が一気に長くなって分かりづらくなる。
といっても、3つの集合の個数定理も、考え方の基本は2つの集合の場合とまったく同じ。
どこを何回数えているか整理することで、3つの集合の個数定理も理解できる。

3つの集合の個数定理ってなに?

集合Aと集合Bと集合Cの3つの集合が重なっていることを表しているベン図の画像
集合\(A,B,C\)が有限集合のとき、それぞれの要素の個数を\(n(A),n(B),n(C)\)で表す。
このとき、3つの集合の和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)は
3つの集合の個数定理の数式を表した画像
で求められる。
これを3つの集合の個数定理という。
式だけを見ると複雑だけど、実際には数えすぎの調整をしているだけ。

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個数定理ってなに?集合の要素の個数の求め方

足して引いてまた足す理由

3つの集合の個数定理の数式を①足す②引く③足すの箇所に赤い下線で強調した画像
3つの集合の個数定理の式は長く見えるけど、「足す→引く→足す」という流れに分けて考えると分かりやすい。
①\(n(A)+n(B)+n(C)\)
②\(-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)\)
③\(+n(A∩B∩C)\)

この3つの段階に分けて考える。
最終的に、和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)を求めることを目指す。

①n(A)+n(B)+n(C)

全部足した状態で二重部分が強調されているベン図の画像
\[n(A)+n(B)+n(C)\] と足すことで、各集合の要素をすべて数えることができる。
このとき、
・\(A∩B\)に属する要素
・\(B∩C\)に属する要素
・\(C∩A\)に属する要素
は2回ずつ数えられている。

②-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)

二重部分を引いた状態で中央部分が数えられていないことが視覚的に分かるベン図の画像
\[-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)\] という感じに、数えすぎた分を引く
ここで、\(A∩B∩C\)に属する要素に注目してみると、3回足して3回引いている
結果としてちょうど0回分になってしまっている。

③+n(A∩B∩C)

最後に中央を足して和集合の要素の個数が数えられるように完成したベン図の画像
\[+n(A∩B∩C)\] という感じに、数えられていなかった分を足す
こうすることで、すべての要素がちょうど1回ずつ数えられることになり、和集合\(A∪B∪C\)の要素の個数\(n(A∪B∪C)\)を求めることができる。
これが、3つの集合の個数定理の基本的な考え方となる。
この流れは、2つの集合の個数定理 \[n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B)\] と本質的に考え方は同じ。
☆包除原理

今やった個数定理は、より一般的には「包除原理(ほうじょげんり)」って呼ばれる。包除原理とは、「重なって数えた部分を引き、引きすぎた部分をまた足す」という手法のこと。複数の集合の要素の個数を正しく求める考え方のことで、2つの集合の個数定理も、3つの集合の個数定理も、この包除原理の具体例となる。さらに集合の数が4つ、5つと増えても、同じ考え方で要素の個数を求めることができる。

例題

「例題」という文字が書かれた画像。
横にした鉛筆を貫通するようなイラストが添えてある。

例題を解きながら、3つの集合の個数定理の使い方を確認していく。

3つの集合の個数定理の使い方を確認できる集合の文章例題の画像
まずは\(720\)を素因数分解する。 \[720=72\cdot10=(8\cdot9)\cdot(2\cdot5)=(2^3\cdot3^2)\cdot(2\cdot5)=2^4\cdot3^2\cdot5\] 素因数分解については以下を参考。 素因数分解で平方因数を外に 約分できない分数は、\(1\)から\(719\)までの整数のうち、\(2\)でも\(3\)でも\(5\)でも割り切れない整数が分子に来たときとなる。
・\(1\)から\(719\)までの整数全体の集合を\(U\)
・\(2\)の倍数全体の集合を\(A\)
・\(3\)の倍数全体の集合を\(B\)
・\(5\)の倍数全体の集合を\(C\)
とおく。
集合\(A\)について(\(719÷2=359\)あまり\(1\)となることから) \[719=359\cdot2+1\] となるため \[A=\{2\cdot1,2\cdot2,\cdots,2\cdot359\}\] となり、集合\(A\)の要素の個数は359個ということが分かる。
集合\(B\)について(\(719÷3=239\)あまり\(2\)となることから) \[719=239\cdot3+2\] となるため \[B=\{3\cdot1,3\cdot2,\cdots,3\cdot239\}\] となり、集合\(B\)の要素の個数は239個ということが分かる。
集合\(C\)について(\(719÷5=143\)あまり\(4\)となることから) \[719=143\cdot5+4\] となるため \[C=\{5\cdot1,5\cdot2,\cdots,5\cdot143\}\] となり、集合\(C\)の要素の個数は143個ということが分かる。
また、
  • \(A∩B\)は\(2\)の倍数かつ\(3\)の倍数なので\(6\)の倍数
  • \(B∩C\)は\(3\)の倍数かつ\(5\)の倍数なので\(15\)の倍数
  • \(C∩A\)は\(5\)の倍数かつ\(2\)の倍数なので\(10\)の倍数
  • \(A∩B∩C\)は\(2\)の倍数かつ\(3\)の倍数かつ\(5\)の倍数なので\(30\)の倍数
ということが分かるので、それぞれの要素の個数も計算できそう。
\(A∩B\)について(\(719÷6=119\)あまり\(5\)となることから) \[719=119\cdot6+5\] となるため \[A∩B=\{6\cdot1,6\cdot2,\cdots,6\cdot119\}\] となり、\(A∩B\)の要素の個数は119個ということが分かる。
\(B∩C\)について(\(719÷15=47\)あまり\(14\)となることから) \[719=47\cdot15+14\] となるため \[B∩C=\{15\cdot1,15\cdot2,\cdots,15\cdot47\}\] となり、\(B∩C\)の要素の個数は47個ということが分かる。
\(C∩A\)について(\(719÷10=71\)あまり\(9\)となることから) \[719=71\cdot10+9\] となるため \[C∩A=\{10\cdot1,10\cdot2,\cdots,10\cdot71\}\] となり、\(C∩A\)の要素の個数は71個ということが分かる。
\(A∩B∩C\)について(\(719÷30=23\)あまり\(29\)となることから) \[719=23\cdot30+29\] となるため \[A∩B∩C=\{30\cdot1,30\cdot2,\cdots,30\cdot23\}\] となり、\(A∩B∩C\)の要素の個数は23個ということが分かる。
それぞれの集合の要素の個数を整理すると \[n(U)=719\] \[n(A)=359\] \[n(B)=239\] \[n(C)=143\] \[n(A∩B)=119\] \[n(B∩C)=47\] \[n(C∩A)=71\] \[n(A∩B∩C)=23\] こんな感じ。
3つの集合の個数定理より
3つの集合の個数定理によって例題の約分できる分数の個数を求める計算式の画像

これは約分できる分数の個数
求めたいのは約分できない分数の個数なので、補集合の個数定理より

補集合の個数定理によって例題の約分できない分数の個数を求める計算式の画像
よって
192個
これが答え。
ベン図で見ると
集合A集合B集合Cの3つの集合のベン図にそれぞれ個数が記載され問題の答えである補集合が強調された画像

こんな感じ。

☆オイラーのトーシェント関数(オイラーのファイ関数)
オイラーのトーシェント関数(Euler’s totient function)とは、正の整数𝑛に対して、𝑛と互いに素な1以上𝑛以下の整数の個数を表す関数で、\(φ(n)\)と書く。一般に「オイラーの\(φ\)(ファイ)関数」とも呼ばれる。\(720=2^4\cdot3^2\cdot5\)より、 \[φ(720)=720(1-\frac{1}{2})(1-\frac{1}{3})(1-\frac{1}{5})=720\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{2}{3}\cdot\frac{4}{5}=192\] これは、\(720\)と互いに素な\(1\)以上\(720\)以下の整数の個数を表している。なので、分母が\(720\)のとき約分できない分数の個数は192個であることが分かる。大学数学の範囲みたい。

定義を知る

「定義を知る」という文字が書かれた画像。
左に虫眼鏡、右に電球のイラストが添えてある。
ベン図
集合と集合の関係を図で表したもの
集合
範囲がはっきりしているものの集まり
要素(元)
\(a∈A\)
\(a\)は\(A\)に属する
\(a\)は\(A\)の要素
全体集合
\(U\)
すべての要素をまとめた集合
共通部分
\(A∩B\)
\(A\)かつ\(B\)
和集合
\(A∪B\)
\(A\)または\(B\)
補集合
\(\overline{A}\)
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合

まとめ

「まとめ」という文字が書かれた画像。
指を指すスーツを着た男性のイラストが添えてある。

3つの集合の個数定理は、「足す→引く→足す」で数えすぎを調整する考え方。
式は長く見えるけど、実際は数え過ぎを整理しているだけ。
この考え方は包除原理と呼ばれ、集合の数が増えても同じように使うことができる。
式を丸暗記するよりも、なぜそうなるのかを理解する方が覚えやすい。

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