3つの集合のド・モルガンの法則|式とベン図で整理

補集合や共通部分、和集合を組み合わせて考えるような集合の問題はよくある。
その中でも重要なのが、ド・モルガンの法則。
2つの集合で学んだこの法則は、3つの集合にも拡張することができる。

2つの集合のド・モルガンの法則

ド・モルガンの法則の2つの式を並べた画像
集合\(A,B\)について
\(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)
\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)
という2つの式が成り立つ。
これは
  • 補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わる
ド・モルガンの法則の2つの式のうち、補集合によって「共通部分」と「和集合」が入れ替わっている式を並べた画像

というのがポイント。

合わせて読みたい

ド・モルガンの法則ってなに?ひっくり返る集合の関係

3つの集合のド・モルガンの法則

3つの集合のド・モルガンの法則の式を並べた画像
集合\(A,B,C\)の3つの集合についても
  • 補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わる
という同じような関係が成り立ち
\( \overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C} \)
\( \overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C} \)
という2つの式が成り立つ。

ベン図で証明

ド・モルガンの法則をベン図で表した画像
(1)\(\overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)
\((a)\overline{A∪B∪C}\)について
\(A∪B∪C\)は「\(A\)または\(B\)または\(C\)」なので、ベン図で表すと
和集合を表すベン図の画像
こんな感じ。
その補集合\(\overline{A∪B∪C}\)をベン図で表すと
和集合の補集合を表すベン図の画像
こんな感じ。
\((b)\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)と\(\overline{C}\)をベン図で表すと
3つの集合についてそれぞれの補集合を表したベン図の画像
こんな感じ。
\(\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)は「\(\overline{A}\)かつ\(\overline{B}\)かつ\(\overline{C}\)」なので、これをベン図で表すと
和集合の補集合を表すベン図の画像
こんな感じ。

\((a)\overline{A∪B∪C}\)と\((b)\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)のベン図は同じになるので
ド・モルガンの法則をベン図で表した画像
\[\overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\] が成り立つ。

(2)\(\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)
\((a)\overline{A∩B∩C}\)について
\(A∩B∩C\)は「\(A\)かつ\(B\)かつ\(C\)」なので、ベン図で表すと
共通部分を表すベン図の画像
こんな感じ。
その補集合\(\overline{A∩B∩C}\)をベン図で表すと
共通部分の補集合を表すベン図の画像
こんな感じ。
\((b)\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)について
\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)と\(\overline{C}\)をベン図で表すと
3つの集合についてそれぞれの補集合を表したベン図の画像
こんな感じ。
\(\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)は「\(\overline{A}\)または\(\overline{B}\)または\(\overline{C}\)」なので、これをベン図で表すと
共通部分の補集合を表すベン図の画像
こんな感じ。

\((a)\overline{A∪B∪C}\)と\((b)\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)のベン図は一致するので
ド・モルガンの法則をベン図で表した画像
\[\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\] が成り立つ。

式で証明

3つの集合のド・モルガンの法則の式を並べた画像
(1)\(\overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)
\((a)\overline{A∪B∪C}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A\}\)より\(\overline{A∪B∪C}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A∪B∪C\}\)となる。
\(x∉A∪B∪C\)は、\(x\)は「\(A\)または\(B\)または\(C\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(x\)は\(A\)にも属しておらず、\(B\)にも属しておらず、\(C\)にも属していない。
なので、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)かつ\(x∉C\)」ということができる。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)かつ\(x∉C\)は「\(x∈\overline{A}\)かつ\(x∈\overline{B}\)かつ\(x∈\overline{C}\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)」となる。
「\(\overline{A∪B∪C}\)ならば\(\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)」なので、 \[\overline{A∪B∪C}⊂\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\]
\((b)\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)について
\(\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A\)かつ\(x∉B\)かつ\(x∉C\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)かつ\(x∉B\)かつ\(x∉C\)」が成り立つ。
\(x∉A\)かつ\(x∉B\)かつ\(x∉C\)より、\(x\)は\(A\)にも属しておらず、\(B\)にも属しておらず、\(C\)にも属していない。
これは「\(A\)または\(B\)または\(C\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∪B∪C\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∪B∪C}\)」となる。 「\(\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)ならば\(\overline{A∪B∪C}\)」なので、 \[\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}⊂\overline{A∪B∪C}\]
\((a)\overline{A∪B∪C}⊂\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\)と\((b)\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}⊂\overline{A∪B∪C}\)が同時に成り立つので \[\overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}\] が成り立つ。

(2)\(\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)
\((a)\overline{A∩B∩C}\)について
\(\overline{A}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A\}\)より\(\overline{A∩B∩C}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A∩B∩C\}\)となる。
\(x∉A∩B∩C\)は、\(x\)は「\(A\)かつ\(B\)かつ\(C\)」に属していない要素ということ。
つまり、\(A\)に属していないか、\(B\)に属していないか、\(C\)に属していないということ。
なので、「\(x∉A\)または\(x∉B\)または\(x∉C\)」ということができる。
\(x∉A\)または\(x∉B\)または\(x∉C\)は「\(x∈\overline{A}\)または\(x∈\overline{B}\)または\(x∈\overline{C}\)」ということができ、「\(x∈\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)」となる。 「\(\overline{A∩B∩C}\)ならば\(\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)」なので、 \[\overline{A∩B∩C}⊂\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\]
\((b)\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)について
\(\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}=\{x|x∈U\)かつ\(x∉A\)または\(x∉B\)または\(x∉C\}\)なので、任意の要素\(x\)について、「\(x∉A\)または\(x∉B\)または\(x∉C\)」が成り立つ。
\(x∉A\)または\(x∉B\)または\(x∉C\)より、\(x\)は\(A\)に属していないか、\(B\)に属していないか、\(C\)に属していない。
これは「\(A\)かつ\(B\)かつ\(C\)」に属していない要素ということ。
なので、「\(x∉A∩B∩C\)」ということができ、「\(x∈\overline{A∩B∩C}\)」となる。
「\(\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)ならば\(\overline{A∩B∩C}\)」なので、 \[\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}⊂\overline{A∩B∩C}\]
\((a)\overline{A∩B∩C}⊂\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)と\((b)\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}⊂\overline{A∩B∩C}\)が同時に成り立つのでが同時に成り立つので \[\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\] が成り立つ。

合わせて読みたい

部分集合ってなに?記号の意味
☆ド・モルガンの法則の一般化
ド・モルガンの法則は、2つや3つの集合に限らず、4つ以上の集合に対しても同じように成り立つ。例えば、4つの集合\(A,B,C,D\)については \[\cdot\:\:\overline{A∪B∪C∪D}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C}∩\overline{D}\] \[\cdot\:\:\overline{A∩B∩C∩D}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}∪\overline{D}\] となる。これを一般化すると \[\cdot\:\:\overline{A_{1}∪A_{2}∪⋯∪A_{n}}=\overline{A_{1}}∩\overline{A_{2}}∩⋯∩\overline{A_{n}}\] \[\cdot\:\:\overline{A_{1}∩A_{2}∩⋯∩A_{n}}=\overline{A_{1}}∪\overline{A_{2}}∪⋯∪\overline{A_{n}}\] となる。こんな感じに、補集合を取ると「共通部分(\(∩\))」と「和集合(\(∪\))」の関係がすべて入れ替わるというルールは、集合の個数に関係なく成り立つ。つまり、ド・モルガンの法則は「補集合を取ると、\(∩\)と\(∪\)がすべて入れ替わる」という1つのルールだけ覚えておけば良き。高校範囲ではここまで一般化して扱うことは少ないけど、考え方としては同じ。

例題

「例題」という文字が書かれた画像。
横にした鉛筆を貫通するようなイラストが添えてある。

例題を解きながら、ド・モルガンの法則の使い方を確認していく。

ド・モルガンの法則の使い方を確認するための例題の画像
・全体集合を\(U\)
・LINEを使っていると答えた人の集合を\(L\)
・Instagramを使っていると答えた人の集合を\(I\)
・TikTokを使っていると答えた人の集合を\(T\)
とおいて考えてみる。
「LINEを使っていない」または「Instagramを使っていない」または「TikTokを使っていない」と答えた人は70人なので \[n(\overline{L}∪\overline{I}∪\overline{T})=70\] 「使っていない」という条件は補集合で表されているため、ド・モルガンの法則を使って、補集合の中身を共通部分に式変形させる。
ド・モルガンの法則\(\overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C}\)より \[n(\overline{L}∪\overline{I}∪\overline{T})=n(\overline{L∩I∩T})=70\] 補集合の個数定理\(n(\overline{A})=n(U)-n(A)\)より
n(L∩I∩T)を求める式の画像
LINEとInstagramの両方を使っている人は56人なので \[n(L∩I)=56\] \(L∩I\)に属する要素は、\(T\)に属する要素と\(T\)に属さない要素のどちらも含んでいるため \[n(L∩I)=n(L∩I∩T)+n(L∩I∩\overline{T})\] と表せる。
求めたい「LINEとInstagramの両方を使っているが、TikTokは使っていない人」の人数は \[n(L∩I∩\overline{T})\] なので、\(n(L∩I∩T)=30,n(L∩I)=56\)より
n(L∩I∩T ̅ )を求める式の画像
よって
26人
これが答え。
ベン図で見ると
(n(L∩I∩T ̅ )=26をベン図で表した画像)

こんな感じ。

定義を知る

ベン図
集合と集合の関係を図で表したもの
集合
範囲がはっきりしているものの集まり
要素(元)
\(a∈A\)
\(a\)は\(A\)に属する
\(a\)は\(A\)の要素
全体集合
\(U\)
すべての要素をまとめた集合
部分集合
\(A⊂B\)
\(A\)は\(B\)に含まれる
\(B\)は\(A\)を含む
共通部分
\(A∩B\)
\(A\)かつ\(B\)
和集合
\(A∪B\)
\(A\)または\(B\)
補集合
\(\overline{A}\)
全体集合の要素で、集合\(A\)に属さない要素全体の集合

まとめ

3つの集合のド・モルガンの法則は
・\( \overline{A∪B∪C}=\overline{A}∩\overline{B}∩\overline{C} \)
・\( \overline{A∩B∩C}=\overline{A}∪\overline{B}∪\overline{C} \)
この2つ。
ポイントは補集合を取ると「共通部分」と「和集合」の関係が入れ替わるということ。
2つの集合と同じルールなので、構造を理解すればそんなに覚えることは難しくない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。