今度は、条件式から最大値・最小値を求めることを考える。
・・・条件式?
条件式とは、問題の前提となる式のこと。
例えば、
(1)の「\(2x+y=3\)」(2)の「\(x+2y=8\)」が条件式。
問題の前提となる式のこと。
とりあえずこれが条件式。
ちなみに、
これは変域。変域は、変数のとりうる値の範囲のこと。
条件式がある問題は、文字を消すように解き進める。
文字を消すというのは条件式を変形させて代入するということ。
最大値・最小値は平方式に平方完成して考える。
\(x^2+2y^2\)の最小値を求めるにも変数が\(x\)と\(y\)の2つある。
なので、変数を2つから1つにして最小値を求めていく。
まずは条件式\(2x+y=3\)を変形させる。
\(2x+y=3\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;y=-2x+3\) ・・・①
こんな感じ。
\(x=\frac{-y+3}{2}\)とすることもできるが、代入後に分数の計算が出てきて厄介。
ここで変形させた条件式を代入して文字を消す作業をする。
①を\(x^2+2y^2\)に代入して、式を整理する。
\(\begin{array}{l} x^2+2y^2=x^2+2(-2x+3)^2 \\ \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\,=x^2+2(4x^2-12x+9) \\ \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\,=x^2+8x^2-24x+18 \\ \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\,=9x^2-24x+18 \end{array}\)
これで\(y\)が消え、\(x\)の式になった。
変数が2つから1つになった瞬間である。
最小値を求めるため、平方式に平方完成する。
\(\begin{array}{l} \;\;\;\,9x^2-24x+18 \\ =9(x^2-\frac{8}{3}x)+18 \\ =9\{x^2-\frac{8}{3}x+(\frac{4}{3})^2-(\frac{4}{3})^2\}+18 \\ =9\{(x-\frac{4}{3})^2-\frac{16}{9}\}+18 \\ =9(x-\frac{4}{3})^2-16+18 \\ =9(x-\frac{4}{3})^2+2 \end{array}\)
\(t=9x^2-24x+18\)とおくと、頂点\((\frac{4}{3},2)\)、軸\(x=\frac{4}{3}\)、\(x^2\)の係数はプラスだから下に凸のグラフということが分かった。
グラフに表すときは縦軸に\(t\)、横軸に\(x\)をとって表す。 こんな感じ。
頂点\((\frac{4}{3},2)\)で最小値となるので、\(x=\frac{4}{3}\)で最小値\(2\)をとる。
①に\(x=\frac{4}{3}\)を代入すると、
\(y=-2x+3\)
\(\;\;\:=-2\)・\(\frac{4}{3}+3\)
\(\;\;\:=-\frac{8}{3}+3\)
\(\;\;\:=\)\(\;\frac{1}{3}\)
\(t=9x^2-24x+18\)とおいたが、もともとは\(x^2+2y^2\)だったので、
\(t=9x^2-24x+18\)の最小値がそのまま\(x^2+2y^2\)の最小値になる。
なので、
\(x=\frac{4}{3}\)、\(y=\frac{1}{3}\)のとき最小値\(2\)
これが答え。 グラフで見るとこんな感じ。
答え方として
「\(x=\frac{4}{3}\)、\(y=\frac{1}{3}\)のとき最小値\(2\)」でもいいが、
「\((x,y)=(\frac{4}{3},\frac{1}{3})\)のとき最小値\(2\)」と表すこともできる。
まずは条件式\(x+2y=8\)を変形させる。
\(x+2y=8\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;x=-2y+8\) ・・・①
こんな感じ。
\(x≧0\)に①を代入すると、
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\,x≧0\)
\(-2y+8≧0\)
\(\;\;\;\;\;\;-2y≧-8\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\,y≦4\)
こんな感じになる。
\(y≧0\)かつ\(y≦4\)なので
\(0≦y≦4\) ・・・②
となる。
この変域を求める作業を忘れないようにしなきゃいけない。
次に、変形させた条件式を代入して文字を消す作業をする。
\(xy\)に①を代入して、式を整理する。
\(xy=(-2y+8)\)・\(y\)
\(\;\;\;\;\;=-2y^2+8y\)
これで\(x\)が消え、\(y\)の式になった。
ここから平方式に平方完成する。
\(\;\;\;\,-2y^2+8y\)
\(=-2(y^2-4y)\)
\(=-2(y^2-4y+2^2-2^2)\)
\(=-2\{(y-2)^2-4\}\)
\(=-2(y-2)^2+(-2)\)・\((-4)\)
\(=-2(y-2)^2+8\)
\(t=-2y^2+8y\)とおくと、頂点\((2,8)\)、軸\(y=2\)、\(x^2\)の係数はマイナスだから上に凸のグラフということが分かった。
グラフに表すときは縦軸に\(t\)、横軸に\(y\)をとって表す。 こんな感じ。
②より\(t=-2y^2+8y\;\;\;(0≦y≦4)\)という、定義域に制限のある関数になる。 グラフに表すとこんな感じ。
まずは最大値から考えていく。
上に凸の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方が最大値になる。
軸\(y=2\)、定義域\(0≦y≦4\)なので、軸が区間の中にある。
最大値は、2次関数の最大値と最小値より
このパターン。
頂点が最大値ってことが分かる。
頂点は\((2,8)\)と分かっているので、\(y=2\)で最大値\(8\)をとる。
①に\(y=2\)を代入すると
\(x=-2y+8\)
\(\;\;\;=-2\)・\(2+8\)
\(\;\;\;=-4+8\)
\(\;\;\;=\)\(\;4\)
なので、
\(x=4\)、\(y=2\)のとき最大値\(8\)をとる
これが最大値。
次に最小値を考えていく。
上に凸の場合、区間の端のうち、軸から遠い方が最小値になる。
定義域\(0≦y≦4\)なので中央値は\[c=\frac{0+4}{2}=2\]
軸\(y=2\)、中央値\(c=2\)なので、軸と中央値が同じ。
最小値は、2次関数の最大値と最小値より
軸と中央値が同じときは、軸から同じだけ離れているから区間の両端とも最小値ってことが分かる。
定義域は\(0≦y≦4\)なので、区間の端は\(0\)と\(4\)の2つ。
なので\(y=0,4\)で最小値をとる。
\(y=0\)のとき
\(t=-2y^2+8y\)
\(\;\;\;=-2\)・\(0^2+8\)・\(0\)
\(\;\;\;=\)\(\;0\)
また、①に\(y=0\)を代入すると
\(x=-2y+8\)
\(\;\;\;=-2\)・\(0+8\)
\(\;\;\;=8\)
なので、
\(x=8\)、\(y=0\)のとき最小値\(0\)をとる
\(y=4\)のとき
\(t=-2y^2+8y\)
\(\;\;\;=-2\)・\(4^2+8\)・\(4\)
\(\;\;\;=-32+32\)
\(\;\;\;=\)\(0\)
また、①に\(y=4\)を代入すると
\(x=-2y+8\)
\(\;\;\;=-2\)・\(4+8\)
\(\;\;\;=-8+8\)
\(\;\;\;=\)\(\;0\)
なので、
\(x=0\)、\(y=4\)のとき最小値\(0\)をとる
この2つが最小値。
まとめると、
\(x=4\)、\(y=2\)のとき最大値\(8\)
\(x=8\)、\(y=0\)のとき最小値\(0\)
\(x=0\)、\(y=4\)のとき最小値\(0\)
これが答え。
グラフに表すと こんな感じ。
答え方として、
\((x,y)=(4,2)\)のとき最大値\(8\)
\((x,y)=(8,0)、(0,4)\)のとき最小値\(0\)
これでも正解。
こっちの方がスッキリしているかもしれない。
これが条件式から最大値・最小値を求めるということ。
例題を解きながら、条件式から最大値・最小値を求めるやり方を確認する。
まずは条件式\(-x+3y=2\)を変形させる。
\(-x+3y=2\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;-x=-3y+2\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;x=3y-2\) ・・・①
こんな感じ。
①を\(-x^2+2y^2\)に代入して、式を整理する。
\(\;\;\;\,-x^2+2y^2=-(3y-2)^2+2y^2\)
\(=-(9y^2-12y+4)+2y^2\)
\(=-9y^2+12y-4+2y^2\)
\(=-7y^2+12y-4\)
最大値を求めるため、平方式に平方完成する。
\(\;\;\;\,-7y^2+12y-4\)
\(=-7(y^2-\frac{12}{7}y)-4\)
\(=-7\{y^2-\frac{12}{7}y+(\frac{6}{7})^2-(\frac{6}{7})^2\}-4\)
\(=-7\{(y-\frac{6}{7})^2-(\frac{6}{7})^2\}-4\)
\(=-7(y-\frac{6}{7})^2+7(\frac{6}{7})^2-4\)
\(=-7(y-\frac{6}{7})^2+\frac{6^2}{7}-4\)
\(=-7(y-\frac{6}{7})^2+\frac{36}{7}-\frac{28}{7}\)
\(=-7(y-\frac{6}{7})^2+\frac{8}{7}\)
\(t=-7y^2-12y-4\)とおくと、頂点\((\frac{6}{7},\frac{8}{7})\)、軸\(y=\frac{6}{7}\)、\(x^2\)の係数はマイナスだから上に凸のグラフということが分かった。
グラフに表すときは縦軸に\(t\)、横軸に\(y\)をとって表す。 こんな感じ。
頂点\((\frac{6}{7},\frac{8}{7})\)で最小値となるので、\(y=\frac{6}{7}\)で最小値\(\frac{8}{7}\)をとる。
①に\(y=\frac{6}{7}\)を代入すると、
\(x=3y-2\)
\(\;\;\;=3\)・\(\frac{6}{7}-2\)
\(\;\;\;=\frac{18}{7}-\frac{14}{7}\)
\(\;\;\;=\)\(\;\frac{4}{7}\)
\(t=-7y^2-12y-4\)の最大値がそのまま\(-x^2+2y^2\)の最大値になる。
なので、
\((x,y)=(\frac{4}{7},\frac{6}{7})\)のとき最小値\(\frac{8}{7}\)
これが答え。
グラフで見るとこんな感じ。
まずは条件式\(2x+y=1\)を変形させる。
\(2x+y=1\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\,y=-2x+1\) ・・・①
こんな感じ。
\(y≧0\)に①を代入すると、
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;y≧0\)
\(-2x+1≧0\)
\(\;\;\;\;\;\;-2x≧-1\)
\(\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;x≦\frac{1}{2}\)
こんな感じになる。
\(x≧0\)かつ\(x≦\frac{1}{2}\)なので
\(0≦x≦\frac{1}{2}\) ・・・②
となる。
\(x^2+y^2\)に①を代入して、式を整理する。
\(\;\;\;\,x^2+y^2\)
\(=x^2+(-2x+1)^2\)
\(=x^2+4x^2-4x+1\)
\(=5x^2-4x+1\)
ここから平方式に平方完成する。
\(\;\;\;\,5x^2-4x+1\)
\(=5(x^2-\frac{4}{5}x)+1\)
\(=5\{x^2-\frac{4}{5}x+(\frac{2}{5})^2-(\frac{2}{5})^2\}+1\)
\(=5\{(x-\frac{2}{5})^2-(\frac{2}{5})^2\}+1\)
\(=5(x-\frac{2}{5})^2-5(\frac{2}{5})^2+1\)
\(=5(x-\frac{2}{5})^2-\frac{2^2}{5}+\frac{5}{5}\)
\(=5(x-\frac{2}{5})^2-\frac{4}{5}+\frac{5}{5}\)
\(=5(x-\frac{2}{5})^2+\frac{1}{5}\)
\(t=5x^2-4x+1\)とおくと、頂点\((\frac{2}{5},\frac{1}{5})\)、軸\(x=\frac{2}{5}\)、\(x^2\)の係数はプラスだから下に凸のグラフということが分かった。
グラフに表すときは縦軸に\(t\)、横軸に\(x\)をとって表す。 こんな感じ。
②より\(t=5x^2-4x+1\;\;\;(0≦x≦\frac{1}{2})\)という、定義域に制限のある関数になる。 グラフに表すとこんな感じ。
まずは最大値から考えていく。
下に凸の場合、区間の端のうち、軸から遠い方が最大値になる。
定義域\(0≦x≦\frac{1}{2}\)なので中央値は\[c=\frac{0+\frac{1}{2}}{2}=\frac{1}{4}\] 軸\(x=\frac{2}{5}=\frac{8}{20}\)、中央値\(c=\frac{1}{4}=\frac{5}{20}\)なので、軸は中央値よりも大きい。
最小値は、2次関数の最大値と最小値より このパターン。
区間の端のうち小さい方で最大値となっていることが分かる。
定義域は\(0≦x≦\frac{1}{2}\)なので、区間の端は\(0\)、\(\frac{1}{2}\)の2つ。
そのうち小さいのは\(0\)の方なので、\(x=0\)で最大値をとる。
\(x=0\)のとき
\(t=5x^2-4x+1\)
\(\;\;\;=5\)・\(0^2-4\)・\(0+1\)
\(\;\;\;=\)\(\;1\)
また、①に\(x=0\)を代入すると
\(y=-2x+1\)
\(\;\;\;=-2\)・\(0+1\)
\(\;\;\;=\)\(\;1\)
なので、
\((x,y)=(0,1)\)のとき最大値\(1\)をとる
これが最大値。
次に最小値を考えていく。
下に凸の場合、区間の端と頂点のうち、軸に一番近い方が最小値になる。
軸\(x=\frac{2}{5}\)、定義域\(0≦x≦\frac{1}{2}\)なので、軸が区間の中にある。
最大値は、2次関数の最大値と最小値より このパターン。
頂点が最小値ってことが分かる。
頂点は\((\frac{2}{5},\frac{1}{5})\)と分かっているので、\(x=\frac{2}{5}\)で最小値\(\frac{1}{5}\)をとる。
①に\(x=\frac{2}{5}\)を代入すると
\(y=-2x+1\)
\(\;\;\;=-2\)・\(\frac{2}{5}+1\)
\(\;\;\;=-\frac{4}{5}+\frac{5}{5}\)
\(\;\;\;=\frac{1}{5}\)
なので、
\((x,y)=(\frac{2}{5},\frac{1}{5})\)のとき最小値\(\frac{1}{5}\)をとる
これが最小値。
最大値と最小値両方並べてみると、
\((x,y)=(0,1)\)のとき最大値\(1\)をとる
\((x,y)=(\frac{2}{5},\frac{1}{5})\)のとき最小値\(\frac{1}{5}\)をとる
これが答え。
グラフで見るとこんな感じ。
問題の前提となる式のこと | |
2次の多項式を平方式や完全平方式に変形させること | |
どんな数にでもなり得る文字のこと。変化する数。 | |
変数のとりうる値の範囲のこと | |
関数\(y=f(x)\)における\(x\)の変域のこと ここでは、 関数\(t=f(y)\)における\(y\)の変域のこと |
|
定義域に制限がある際の、\(x\)の値の範囲の実数\(x\)の集合のこと |
条件式があれば、とりあえず変形して代入して文字を消すところから解き始める。
変域が設定されていたら定義域を制限することを忘れないようにしなきゃいけない。
ちょっと難しいけど基本をしっかり身に着けておけば、グラフもしっかり捉えることができる。
関数を可視化できるグラフはやっぱり超便利。
区間の端、区間の中央値、頂点、軸がそれぞれどうなるのかを意識しながら解いていきたい。