今度は、2変数関数の最大・最小を考える。

2変数は2つの変数ということ。
ここでいう\(x\)と\(y\)のことを2変数って呼ぶ。
どんな数にでもなり得る文字のことを変数って呼ぶ。
\(P\)を\(x,y\)の2つの変数で表しているので2変数。
ちなみに\(P\)も変数。
関数は、数の関係性のこと。
2つの変数\(x,y\)の値が決まれば\(P\)の値が決まる。
そんな\(P\)と\(x,y\)との関係性を\(P=x^2+4xy+5y^2+2y+2\)って表している。
これが2変数関数。
☆2変数関数の表し方
\(x\)の関数を\[f(x)\]と表すことができる。同じように、\(x,y\)の2変数の関数を\[f(x,y)\]と表すことができる。上の式を使うと、\[P=f(x,y)\]とか\[f(x,y)=x^2+4xy+5y^2+2y+2\]と表すことができる。一般化すると\[f(x,y)=ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f\]と表し、変数\(x,y\)、定数\(a,b,c,d,e,f\)の2変数関数となる。


特定の文字に着目するためには、同類項をまとめて整理する必要がある。
関数\(P=x^2+4xy+5y^2+2y+2\)は既に同類項をまとめて整理された状態なので、このまま特定の文字に着目する。
着目する特定の文字は\(x,y\)どちらでも良き。
ここでは\(x\)に着目してみる。
着目するっていうのは、他の文字や数字を単なる数(定数)として見るということ。

これで\(P\)と\(x\)の2次関数になった。
求めたいのは最小値なので、2次関数の最大値と最小値の考え方をちょ…っとだけ取り入れる。
\(P=x^2+4yx+5y^2+2y+2\)を\(P=a(x-p)^2+q\)の形に平方完成する。


\((x+2y)^2\)と\((y+1)^2\)に注目する。
\(x,y\)は実数で、2乗すると必ず\(0\)以上になるので、\((x+2y)^2≧0,(y+1)^2≧0\)と表すことができる。
\(0\)以上での最小の値はもちろん\(0\)であって、\((x+2y)^2\)の最小値は\(0\)、\((y+1)^2\)の最小値は\(0\)となる。
求めたいのは\(P=(x+2y)^2+(y+1)^2+1\)の最小値なので、\((x+2y)^2=0,(y+1)^2=0\)のとき最小値を取るということが分かる。
\((y+1)^2=0\)なので
\(y+1=0\)
\(\;\;\;\;\;\;y=-1\)
\(y=-1\)を\((x+2y)^2=0\)に代入すると\((x-2)^2=0\)なので
\(x-2=0\)
\(\;\;\;\;\;\;x=2\)
\(x=2,y=-1\)のとき\((x+2y)^2=0,(y+1)^2=0\)となるので

つまり、
\(x=2,y=-1\)のとき最小値\(1\)
これが答え。

不等式の性質をフル活用しながら\((x+2y)^2\)と\((y+1)^2\)の範囲がどうなるのかを考える。
まずは\((y+1)^2\)の範囲を考える。
\(0≦y≦2\)より、すべての辺に\(1\)を加える。 \[1≦y+1≦3\] \(1≦y+1≦3\)は、\(1≦y+1\)と\(y+1≦3\)が同時に成り立つ。
\(1≦y+1\)に注目し、\(|1|\)と\(|y+1|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(1≦y+1≦3\)であることを踏まえて数直線で見ると


絶対値は\(0\)からの距離なので、\(1≦y+1≦3\)であることを踏まえて数直線で見ると


①\(1≦(y+1)^2\)、②\((y+1)^2≦9\)なので
これで\((y+1)^2\)の範囲が分かった。
次に\((x+2y)^2\)の範囲を考える。
\(0≦y≦2\)より、すべての辺に\(2\)を掛ける。
\[0≦2y≦4\]

\(0≦x+2y\)に注目し、\(|0|\)と\(|x+2y|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(0≦x+2y≦6\)であることを踏まえて数直線で見ると


絶対値は\(0\)からの距離なので、\(0≦x+2y≦6\)であることを踏まえて数直線で見ると


③\(0≦(x+2y)^2\)、④\((x+2y)^2≦36\)なので \[0≦(x+2y)^2≦36\] こんな感じになる。
これで\((x+2y)^2\)の範囲も分かった。
\(P=(x+2y)^2+(y+1)^2+1\)において\(0≦(x+2y)^2≦36\)、\(1≦(y+1)^2≦9\)という条件から最大値と最小値を考える。
\(0≦(x+2y)^2≦36\)の範囲で最小は\(0\)で最大は\(36\)
\(1≦(y+1)^2≦9\)の範囲で最小は\(1\)で最大は\(9\)
ということが分かる。
まず最小値から考えてみる。
\(0≦(x+2y)^2≦36\)、\(1≦(y+1)^2≦9\)から
\((x+2y)^2=0,(y+1)^2=1\)のとき\(P\)は最小値をとる
ということが分かる。


\(x=0,y=0\)のとき最小値\(2\)
と、最小値を求めることができた。
次に最大値を考えてみる。
\(0≦(x+2y)^2≦36\)、\(1≦(y+1)^2≦9\)から
\((x+2y)^2=36,(y+1)^2=9\)のとき\(P\)は最大値をとる
ということが分かる。


\(x=2,y=2\)のとき最大値\(46\)
と、最大値を求めることができた。
まとめると
\(x=2,y=2\)のとき最大値\(46\)
\(x=0,y=0\)のとき最小値\(2\)
これが答え。
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例題を解きながら、2変数関数の解き方を確認する。



求めたいのは最小値なので、2次関数の最大値と最小値の考え方をちょ…っとだけ取り入れる。
\(P=x^2+(-2y+6)x+5y^2-14y+5\)を\(P=a(x-p)^2+q\)の形に平方完成する。


\((x-y+3)^2\)と\((y-1)^2\)に注目する。
\(x,y\)は実数で、2乗すると必ず\(0\)以上になるので、\((x-y+3)^2≧0,(y-1)^2≧0\)と表すことができる。
\(0\)以上での最小の値はもちろん\(0\)であって、\((x-y+3)^2\)の最小値は\(0\)、\((y-1)^2\)の最小値は\(0\)となる。
求めたいのは\(P=(x-y+3)^2+4(y-1)^2-8\)の最小値なので、\((x-y+3)^2=0,(y-1)^2=0\)のとき最小値を取るということが分かる。
\((x-y+3)^2=0,(y-1)^2=0\)のとき


つまり、
\(x=-2,y=1\)のとき最小値\(-8\)
これが答え。

絶対値は\(0\)からの距離なので、\(x,y\)は実数であることを踏まえて数直線で見ると

(1)より\(P=(x-y+3)^2+4(y-1)^2-8\)の形で考えていく。
不等式の性質をフル活用しながら\((x-y+3)^2\)と\((y-1)^2\)の範囲がどうなるのかを考える。
\((y-1)^2\)の範囲から考える。
\(-2≦y≦2\)より、すべての辺から\(1\)を引く。
\[-3≦y-1≦1\] ここで、\(-3≦y-1≦1\)をマイナス側(\(-3≦y-1≦0\))とプラス側(\(0≦y-1≦1\))に分けて考える。

\(-3≦y-1\)で\(|-3|\)と\(|y-1|\)の大小関係、\(y-1≦0\)で\(|y-1|\)と\(|0|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(-3≦y-1≦0\)であることを踏まえて数直線で見ると


プラス側(\(0≦y-1≦1\))は、\(0≦y-1\)と\(y-1≦1\)が同時に成り立つ。
\(0≦y-1\)で\(|0|\)と\(|y-1|\)の大小関係、\(y-1≦1\)で\(|y-1|\)と\(|1|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(0≦y-1≦1\)であることを踏まえて数直線で見ると


マイナス側とプラス側に分けて考えていたので、分けていたものを合わせて考える。
\((y-1)^2\)は③\(0≦(y-1)^2≦9\)と⑥\(0≦(y-1)^2≦1\)の範囲をとりうるので \[0≦(y-1)^2≦9\] こんな感じになる。
これで\((y-1)^2\)の範囲が分かった。
次に\((x-y+3)^2\)の範囲を考える。


\(-1≦x-y+3\)で\(|-1|\)と\(|x-y+3|\)の大小関係、\(x-y+3≦0\)で\(|x-y+3|\)と\(|0|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(-1≦x-y+3≦0\)であることを踏まえて数直線で見ると


プラス側(\(0≦x-y+3≦7\))は、\(0≦x-y+3\)と\(x-y+3≦7\)が同時に成り立つ。
\(0≦x-y+3\)で\(|0|\)と\(|x-y+3|\)の大小関係、\(x-y+3≦7\)で\(|x-y+3|\)と\(|7|\)の大小関係を考える。
絶対値は\(0\)からの距離なので、\(0≦x-y+3≦7\)であることを踏まえて数直線で見ると


マイナス側とプラス側に分けて考えていたので、分けていたものを合わせて考える。
\((x-y+3)^2\)は⑨\(0≦(x-y+3)^2≦1\)と⑫\(0≦(x-y+3)^2≦49\)の範囲をとりうるので
\[0≦(x-y+3)^2≦49\] こんな感じになる。
これで\((x-y+3)^2\)の範囲も分かった。
\(P=(x-y+3)^2+4(y-1)^2-8\)において\(0≦(y-1)^2≦9\)、\(0≦(x-y+3)^2≦49\)という条件から最大値と最小値を考える。
\(0≦(y-1)^2≦9\)の範囲で最小は\(0\)で最大は\(9\)
\(0≦(x-y+3)^2≦49\)の範囲で最小は\(0\)で最大は\(49\)
ということが分かる。
まず最大値を考えてみる。
\(0≦(y-1)^2≦9\)、\(0≦(x-y+3)^2≦49\)から
\((y-1)^2=9,(x-y+3)^2=49\)のとき\(P\)は最大値をとる
ということが分かる。


\(x=2,y=-2\)のとき最大値\(77\)
と、最大値を求めることができた。
次に最小値を考えてみる。
\(0≦(y-1)^2≦9\)、\(0≦(x-y+3)^2≦49\)から
\((y-1)^2=0,(x-y+3)^2=0\)のとき\(P\)は最小値をとる
ということが分かる。
\((y-1)^2=0\)より
\(y=1\)
\(x\)の値は

\(x=-2,y=1\)のとき最小値\(-8\)
と、最小値を求めることができた。
まとめると
\(x=2,y=-2\)のとき最大値\(77\)
\(x=-2,y=1\)のとき最小値\(-8\)
これが答え。
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どんな数にでもなり得る文字のこと。変化する数。\(x\)とか\(y\)とか\(P\)とかとか。 | |
2つの変数のこと。「\(x\)と\(y\)」とかとか。 | |
数の関係性のこと。 | |
例えば\(P=x^2+4xy+5y^2+2y+2\)という式のように、2つの変数\(x,y\)の値が決まれば\(P\)の値が決まる関数のこと。 |
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流れさえ覚えれば、2変数関数の扱いはそこまで難しいものではない。
マイナス側とプラス側で分けるとき、(・・・>\(0\),\(0\)≦・・・)とする方がより正確性が高い、かも。
マイナス側とプラス側に分けて不等式の2乗をするところあたりが少しややこしい。
といっても、要は、\(0\)を含む範囲の2乗をする場合は、
・(\(0≦\)・・・)になる
・区間の端の数のうち\(0\)から遠い方の数を2乗した数までの範囲になる
この2点の特徴があることが分かる。
\(-1≦x≦3\)の場合、\(|-1|\)<\(|3|\)なので\(0≦x^2≦3^2\)となり、
\(-7≦y≦1\)の場合、\(|1|\)<\(|-7|\)なので\(0≦x^2≦(-7)^2\)という感じになる。