判別式Dの符号による頂点のy座標の位置決定

2次関数\(y=ax^2+bx+c\)のグラフは放物線を描き、その形状や位置は定数\(a,b,c\)によって決まる。
特に、グラフと\(x\)軸の共有点の数や頂点の位置はその関数にとって重要な特徴となる。
共有点の個数は判別式\(D=b^2-4ac\)の応用によって調べることができ、\(D\)の符号によって頂点の\(y\)座標の位置(\(x\)軸より上にあるか下にあるか、\(x\)軸上にあるか)を決めることになる。

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判別式の使い方

頂点のy座標

2次関数を一般形\(y=ax^2+bx+c\)から頂点形に式を変形させる。
ここで、判別式\(D=b^2-4ac\)を導入すると、
\(y=a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{D}{4a}\)
となり、頂点の座標は \[(-\frac{b}{2a},-\frac{D}{4a})\] と表される。
頂点の\(y\)座標\(-\frac{D}{4a}\)について、
分子の「\(-D\)」は\(D\)の符号によって正負が決まり、
分母の「\(4a\)」は\(a\)の符号によって正負が決まる。
\(y\)座標の符号、つまり\(-\frac{D}{4a}\)の符号は\(a\)と\(D\)の符号の組み合わせによって決まる。

Dの符号が表す意味

判別式\(D\)は、2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の実数解の数を表す。
2次関数\(y=ax^2+bx+c\)では、\(x\)座標との共有点の個数を表す。
\(D\)の符号は
・\(D\)>\(0\)のとき、2つの異なる実数解
→2つの共有点
・\(D\)=\(0\)のとき、1つの実数解
→1つの共有点、接点
・\(D\)<\(0\)のとき、実数解なし
→共有点なし
と解釈される。
この\(D\)の符号が、頂点の\(y\)座標が\(x\)軸に対して上にあるか下にあるか\(x\)軸上にあるかを決定する。

aとDの場合分け

2次関数のグラフは\(a\)の符号で開き方が決まる(\(a\)>\(0\)なら下に凸、\(a\)<\(0\)なら上に凸)。
これを踏まえて、頂点の\(y\)座標\(-\frac{D}{4a}\)の位置を考える。

(1)\(a\)が正(\(a\)>\(0\)で下に凸)の場合
・\(D\)>\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{正}{正}\)<\(0\)
頂点の\(y\)座標は、つまり\(x\)軸よりにある。
グラフは2点で\(x\)軸と交わる。
・\(D\)=\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{0}{正}\)=\(0\)
頂点の\(y\)座標はゼロ、つまり\(x\)軸上にある。
グラフは\(x\)軸に接する。
・\(D\)<\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{負}{正}\)>\(0\)
頂点の\(y\)座標は、つまり\(x\)軸よりにある。
グラフは\(x\)軸と交わらず、グラフ全体が\(x\)軸より上にある。
(2)\(a\)が負(\(a\)<\(0\)で上に凸)の場合
・\(D\)>\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{正}{負}\)>\(0\)
頂点の\(y\)座標は、つまり\(x\)軸よりにある。
グラフは2点で\(x\)軸と交わる。
・\(D\)=\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{0}{負}\)=\(0\)
頂点の\(y\)座標はゼロ、つまり\(x\)軸上にある。
グラフは\(x\)軸に接する。
・\(D\)<\(0\)のとき\(-\frac{D}{4a}=-\frac{負}{負}\)<\(0\)
頂点の\(y\)座標は、つまり\(x\)軸よりにある。
グラフは\(x\)軸と交わらず、グラフ全体が\(x\)軸より下にある。

まとめると

こんな感じ。
頂点の位置が、\(x\)軸より上にあるか下にあるか\(x\)軸上にあるかを判別式\(D\)によって判断することができる。

cとbの符号の影響

\(D=b^2-4ac\)を構成する\(c\)と\(b\)の符号が頂点の\(y\)座標にどの程度影響するかを考えてみる。

まず\(c\)が表すのは\(y\)切片。 \(y=ax^2+bx+c\)において\(x=0\)のときの\(y\)の値が\(c\)となる。
\(D=b^2-4ac\)において、\(c\)の符号は\(D\)の値に影響する。
\(a\)>\(0\)のとき、\(c\)が正だと\(-4ac\)<\(0\)となり、\(c\)が負だと\(-4ac\)>\(0\)となる。
\(a\)<\(0\)のとき、\(c\)が正だと\(-4ac\)>\(0\)となり、\(c\)が負だと\(-4ac\)<\(0\)となる。
しかし、\(D\)の符号(正、負、ゼロ)は\(b^2\)と\(-4ac\)の合計に依存するため、\(b^2\)が大きい場合、\(c\)の符号の変化が\(D\)の符号をひっくり返すほどの影響を与えない範囲も存在する。
つまり、\(c\)の符号の変化はグラフの上下のシフトに影響を与えるが、\(x\)軸をまたぐほどの大きな影響を与えるとは限らない。

次に、\(b\)について考える。
\(D=b^2-4ac\)において\(b^2\)として現れ、\(b^2\)は実数の範囲内では常に正となる。
そのため、\(b\)の符号の変化が\(D\)の符号に影響を与えることはなく、頂点の\(y\)座標\(-\frac{D}{4a}\)に影響を与えることはない。
\(b\)の符号の変化が影響を与えるのは、頂点の\(x\)座標\(-\frac{b}{2a}\)となる。
つまり、\(b\)の符号の変化はグラフの左右のシフトに影響を与えるが、上下のシフトには影響を与えないということ。

定義を知る

共有点
2つ以上の関数や図形が共通して持つ点
判別式
\(D=b^2-4ac\)

解の公式の

ここが判別式

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判別式の使い方

まとめ

判別式\(D\)はあくまで2次方程式の実数解の個数を判別する式。
2次関数のグラフに応用することで\(x\)座標との共有点の個数を調べることが出来る。
そして、判別式\(D\)の符号が決まるのは\(b^2\)と\(-4ac\)の大きさのバランスであり、\(b\)や\(c\)の符号の変化はその一部に過ぎない。
頂点の\(y\)座標\(-\frac{D}{4a}\)の位置(\(x\)軸より上か下か、\(x\)軸上か)を決定する上で、主役は\(D\)で、\(b\)や\(c\)は補助的な役割に留まる。
\(a\)の符号がグラフの開き方(下に凸か上に凸か)を決め、\(D\)の符号が頂点の位置(\(x\)軸より上か下か\(x\)軸上か)を決定する主要な要因となる。

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